職員採用の不正とは何ともみみっちい ©共同通信社

 田中角栄元首相がブームの昨今といえども、ここまで「角栄的」な現役の金権政治家も珍しい。

 職員の採用口利き疑惑で警視庁捜査二課に逮捕され、13日にようやく辞職した、前山梨市長の望月清賢(せいき)容疑者(70)だ。

 警視庁担当記者はいう。

「今月7日、市役所職員の採用試験の際に一部の受験者の点数を水増ししたとして、虚偽有印公文書作成・同行使容疑で警視庁に逮捕されました。望月容疑者は点数を変えやすいように、市長就任後にわざわざ採用制度を変えています。自宅から受験者の名前と金額が書かれたメモが見つかっていることから、二課は賄賂を受け取った疑いがあるとみています。いまどき珍しい、古典的な公職不正です」

 望月容疑者はもともと、石材会社の社長。市議や県議などを経て2014年、市長に当選。典型的な叩き上げであり、自民党山梨県連の相談役も務めるなど、地元政界の重鎮だ。

 だが、市政関係者は「市議のころからカネに困っていた」と打ち明ける。数千万円以上の負債を抱え、自宅も何度も差し押さえを受けていた。

 今年6月には石材会社を継いだ元妻が同じく二課に詐欺容疑で逮捕されるなど、身辺もざわついていた。

「当初から二課のターゲットは望月容疑者でした。元妻は架空のビジネスへの投資名目で億単位のカネをだまし取ったとされていますが、このカネが望月容疑者の政治資金に回された可能性もある。元妻といっても離婚したのは捜査の手が迫った2月で、望月容疑者への疑惑の波及を避けたものであることは明らか。詐欺事件の捜査も目が離せません」(前出・担当記者)

 舞台は小さな地方自治体だが、捜査員の意気込みは並大抵ではないようだ。捜査関係者はいう。

「昔は警視庁で毎年二桁挙げて当たり前だった汚職事件だが、いまは下手すると1年間ゼロのときもあり、汚職を担当する二課は一部メディアやOBから批判を受けてきた。今年はすでに3月に1件挙げてはいるものの、存在意義を示すため、今回の事件もなんとしても贈収賄事件にまで発展させたい」

 余罪の追及はまだまだ続きそうだ。

(「週刊文春」編集部)