(写真=Melon公式サイト)

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韓国で、定額ストリーミング配信が勢いに乗っている。

韓国メディア『毎日経済』によれば、2013年のストリーミング配信サービス利用者は33.7%に過ぎなかったが、2015年には71.6%まで上昇しているという。

日本ではわずか3.9%しか利用していない(「2016年度『音楽メディアユーザー実態調査』報告書」)ことと比較しても、韓国でストリーミング配信がシェアを広げていることがわかるだろう。

音源チャートを狂わす「スミンチョンゴン」とは

ただ、ストリーミング配信の普及によって、さまざまな問題も生じている。

特に物議を醸しているのは、『Melonチャート」で起きている問題だ。

『Melonチャート」とは、韓国で半分以上のシェアを占めるストリーミング配信サービス「Melon」が発表している独自の人気ランキングのこと。その中のリアルタイムチャートが、利用者たちによって恣意的に操作されることがあるのだ。

例えば今年7月には、ボーイズグループ育成番組『プロデュース101/シーズン2」を通じて発売された数曲の順位が急上昇したことがあった。

それまでTOP100圏外だった楽曲たちが突然TOP40以内にランクインしたのである。

この異様な事態は、「スミンチョンゴン」という活動によって引き起こされたのだという。

「スミンチョンゴン」とは、「ストリーミング」と「チョンゴンギョク(総攻撃)」を合わせた造語で、ある楽曲を大勢で一斉にストリーミング再生することでリアルタイムチャートの順位を上げる行動を指す。

今回の異変も、同番組から輩出されデビューを間近に控えていたボーイズグループ“WANNA ONE”のファンたちが、グループの人気を証明するために組織的に動いたものだった。ファンたちは再生リストを共有し、人々が眠りにつく夜中から朝方にかけて一斉再生を行ったのだという。

もっとも、「スミンチョンゴン」を行っているのは“WANNA ONE”のファンだけではない。アイドルのファンサイトを覗けば、チャート操作の作戦を練っている様子を容易く見つけることができる。
(参考記事:“AKB商法”でK-POPアイドルのCDが爆売れ中!?“CD市場”の日韓比較

チャート操作に数億ウォンが動いている

こうしたチャート操作はビジネスの手段にもなっているらしい。韓国大衆音楽賞選定委員を務める大衆音楽評論家のキム・ジャッカはこう暴露している。

「(チャート操作ビジネスは)ものすごく頻繁に行われています。ブローカーもいますよ。新人なのか中堅なのか、それからチャートの何位まで上げるのか、何時間順位をキープするのか。そういった基準に沿って、価格表があるんです。例えば新人の場合、丸一日チャートにランクインさせるには数億ウォン(数千万円)のお金が動いているという話も聞きました」

中にはアイドルの所属事務所自らが、組織的にチャートを操作する場合もあるのだという。キム・ジャッカはこうした動きは「公平性に反する」としながら、こう続けている。

「すべての問題の根源はリアルタイムチャートにあります。デイリー、週間、月間ぐらいで区分するのが普通で、リアルタイムチャートがあるのは韓国だけです。

もっともも大きな問題は、絶えずリアルタイムチャートに上がった曲だけを聴く消極的な大衆が生まれることです。(その状況では)市場の流れ自体が歪んで示されてしまう。そんなチャートは何の機能も持っていないと言えるでしょう」

たとえリアルタイムチャートを撤廃したとしても、本質的な解決とはならないだけに、事態は深刻だ。

定額制のストリーミング配信の普及によって生じたこの問題に対し、韓国はどのような対応をしていくのだろうか。

(文=李 仁守)