2014年豪州走破の様子(写真: トヨタ自動車の発表資料より)

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 トヨタ自動車は「5大陸横断プロジェクト」の第4弾「2017欧州走破」を行うことを発表した。日本のスタッフと、現地スタッフで、現地の日常に使われる道を走り続け、実際の走りを通して「もっといいクルマつくり」につながる人材育成を行うと共に、実際の問題点などを探ることを目的としている。

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 8月下旬ポルトガルを出発して、ベルギーに向かう「夏走破」を実施、11月下旬デンマークからフィンランドに向かう「冬走破」の2つのプロジェクトを行うようだ。ハイブリッドを中心とした欧州で生産されている車種を使い、欧州の社員と日本の社員で130名ほどのチームを組む。

 第一に、現地のユーザーが日常使う道を、日本と現地スタッフが実際に走り、問題点や、もっと向上させたい点などを掴むこと。ユーザーが実際に走る道を使うことで、遊離した点などを洗い出すことは、何よりも「よいクルマつくり」につながることであろう。また日本スタッフと現地スタッフがチームを組んで走ることで、互いの見解の相違を埋めることが出来るはず。人間関係を作り上げることでその後の仕事に取り組む一助となることも大きい。

 豊田章男社長が掲げてきた「もっといいクルマをつくろうよ」との呼びかけは、開発者や作業者など立場の違う社員の「ずれ」も乗り越える助けになり、「前向きに、真面目に、思いやりのある」仕事を生み出す原動力としようとしている。

 大変「日本的経営」と思われるが、その特徴は、豊田章男社長の言葉に「株主優先の考え方」が含まれていないことだ。ユーザーの気持ちに寄り添い、真面目にユーザーの立場にたって「よりよいクルマつくり」に励む姿勢を生み出そうとしている。

 自動車産業に限らず、「社会は品質保証で成り立っている」ことを基礎とするなら、「まじめで、思いやり」を持った社員が必要だ。この絶対の基礎がなおざりにされる「投資感覚」が、アメリカを中心に現代社会を狂わせてはいないのか?格差が当然とされ、社会に歪を生み出し、ISなどによるテロが起きるたびに、考えさせられる「豊田章男社長の言動」だ。

 「投資効率」と「資金効率」を混同してはならない。「投資効率」は投資家のもので、一部の特殊な立場の人々のものと言える。全員が労働者であるはずの社会の原則からは、一種、はみ出しているのではないか?現在、我々が日常参加しているビジネスモデルを、維持、発展させる努力が基本であり、そこに技術革新があり「資金効率」があるはずだ。

 グローバル化が進んでいる中で、「日本的経営」と呼ばれる社員の気持ちを引き付け、ある意味、管理する経営方針が、どこまで通じるのかは大変興味が湧く。