皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、保険などに悩む40代の会社員女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

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確定拠出年金をしたいがリスクは取りたくない

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、保険などに悩む40代の会社員女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

▼相談者みよさん(仮名)
女性/会社員/48歳
賃貸住宅

▼家族構成独身・一人暮らし

▼相談内容既に払済みの個人年金保険と毎月支払っている終身共済と年金共済があります。どちらも入院給付が5日目からで今どきの1日目からの給付ではなく、またガン診断給付や先進医療特約がない事が心配で、3年前に新たに医療保険に入りました。ただ、少ない掛け金の保険などもある中、結局、月1万円強の保険をかけることになり、何がいいのかわからなくなってしました。保険の相談窓口のようなところに行けば資産を増やすような商品を紹介されたりします。また、毎年7月に5000円昇給されるのですが、そのタイミングで月2万3000円、確定拠出年金を始めようかと考えています。どうでしょうか?ただし、将来的には投資を考えた方がいいのかと思いますが、リスクのある商品に対しての不安もあり足踏みしている状態です。

▼家計収支データ「みよ」さんの家計収支データ

▼家計収支データ補足(1)ボーナスの使いみち(直近の年間実績)
106万円貯蓄、保険料年払い分12万4300円、他にクルマの維持コスト

(2)加入保険の内訳
・本人/医療保険(終身保障、60歳保険料払込終了、入院5000円、女性疾病5000円、他にがん特約)=保険料12万4300円(年払い)
・年金共済(終身型、55歳から年額24万7000円)=保険料5000円
・個人年金保険(終身型、60歳から年額30万円)=保険料前納
・終身共済(終身保障、死亡保障450万円)=払済保険

(3)年金と退職金、定年後について
60歳まで現在の職場に働ければいいと考えている。仮に、現在の職場がなくなっても、アルバイトでもなんでもいいので65歳まで、身体が動くなら70歳まで働きたいと思っている。退職金は560万円ほど。公的年金は113万円。

(4)住宅について
相談者コメント
「今の収入が10年先もあると考えてこの先10年はこのまま賃貸での暮らすつもりです。その後はバツイチ彼氏の家に転居をと予想をたててはおりますが…微妙で。その彼は数年前に離婚をし、子ども2人は元妻が引き取ったのですが、そのうち成人している上の子が元妻と喧嘩をして家を出て、昨年末に、彼とお義母さんと2人住まいだった家に転がり込んできました。なので、そちらについてはしばらく様子見です。彼氏の子との同居は全く考えられないので、先が見えないようなら中古マンション購入し、一人住まいも考えないと、とは思っております。今のマンションを選んだときはまだ彼氏がいなくて、賃貸料は駐車場込で8万2000円と高めですが両親のどちらかの面倒を見ないといけなくなったときのために部屋数のあるマンションを選んだ次第です」

(5)親の介護について
隣県でクルマがないと買い物にも行けない地域に、80歳前後の高齢の両親がいる。年に7回ほど連休を利用して帰省をし、買い物を手伝ったりしているが、先月に母が倒れてからは毎週日曜に帰省している状態。

▼FP深野康彦からの3つのアドバイスアドバイス1 医療保障は「長期」に備えるのが基本
アドバイス2 DC=投資というわけではない
アドバイス3 親の介護は「親のお金で」が基本

アドバイス1 医療保障は「長期」に備えるのが基本

みよさんの収支状況を拝見して思うのは「よく頑張っている」ということ。将来を見据えながら、無理無駄なく、資産をしっかり増やしています。基本的な考え方や、家計管理は間違っていないので、このまま継続してください。

さて、ご相談ですが、まず医療保障について。加入について悩まれていますが、私なら、保険に頼りません。一般的な手術や入院の費用については、それをカバーできるだけの貯蓄があるからです。保険に加入しなければ保険料が浮くわけですから、それを貯蓄に回した方が合理的だと思います。

そこまでは割り切れないというのであれば、家計的に余裕もありますから、もちろん医療保険に加入しても構いません。ただし、入院1日目から給付金支給が出ることはさほど重要ではないのです。医療保障は長期入院などで医療費が高額になった場合に保障でカバーするというのが、本来の目的です。1日や2日の入院費はそれこそ貯蓄から捻出できます。したがって、高額になる先進医療は特約で備える意味はあります。

現在加入されている医療保険も内容については問題ないと思います。保険料が1万円となっているのは、終身払いではなく60歳払い込み終了だからですが、それについては前納されてもいいでしょう。預金金利より前納の割引率の方が高い可能性があります。ただし、前納を受け付けない保険商品もありますので注意してください。

また、保険相談を受けると、貯蓄性のあるものを勧められるとのことですが、現時点では保険に貯蓄性を求める必要はありません。超低金利の時代、保険の予定利率も当然「底」です。多くの場合、保険は契約時に予定利率が確定してしまうため、今後予定利率が上がっても低いままとなってしまいます。

さらに言えば、流動性が低い上、保険料が全額運用されているはわけではありません。保険コストを差し引いた額が運用されているのです。その点でも効率的ではありません。保険はあくまで保障と考えてください。

アドバイス2 DC=投資というわけではない

確定拠出年金(以下DC)をすべきかどうかについては、それを始めるだけの資金的余裕がありますし、年齢を考えても、ぜひ積極的に行っていいかと思います。その理由は、老後に向けての備えとなるのはもちろん、ご存知だと思いますが、節税効果という大きなメリットがあるからです。

まず、掛け金が全額所得控除となります。上限の2万3000円(※)を掛ければ、年間5万5000円ほど節税できます(所得税と住民税の税率がともに10%の場合)。これは確実に手にできる利益と同じです。また、預金の利息、投資信託の配当、売却益などの運用益にかかる税金(20.315%)も非課税となり、老齢給付金として受け取る際も一時金なら「退職所得控除」、年金として受け取るなら「公的年金等控除」が受けられます。

リスクのある投資を行うことに足踏みしているとのことですが、何も無理に投資をする必要はありません。DCには元本保証の定期預金タイプの商品もあります。損をするかもしれないと不安に思う気持ちがストレスになるかもしれません。それよりも、安心して老後資金を用意する方が、みよさんにとっては健全です。

また、個人型DCであれば、それを扱う金融機関は自分で選ばなくてはなりません。商品の品揃えも、個々に発生する管理コストも金融機関によって異なります。いろいろ調べてみることが必要でしょう。当然ながら管理コストが低い金融機関を選ぶのが鉄則になります。

アドバイス3 親の介護は「親のお金で」が基本

今後で気になる点としては、住宅と親御さんへの介護があります。住宅については、まず交際されている彼の実家が今後どうなるかによります。今戻って来ているのは、彼の子どもでもあるわけですから、みよさんが言うように、慌てて結論を出す必要はないでしょう。

同居がきびしい場合のマンション購入については、中古で一人暮らし用であれば、資金的にも可能です。ただし、大きなローンは年齢的に抱えたくはありません。であれば、定年時の現金一括購入という選択肢もあると思います。現在の家計収支が継続されるなら、年間200万円の貯蓄は可能ですから、定年までの12年間で計2400万円が貯まります。今後、どういう暮らし方をするのかも流動的ですから、そのくらい先のプランでいいかと思います。

また、これを全額住宅購入資金に充てても、老後資金が足りなくても困るということはおそらくないでしょう。65歳までは働くということも、正しい老後対策です。

もうひとつの介護の問題ですが、帰省をして生活支援をする頻度は今後高まるかと思います。それでも、できる限りのことはしてあげてほしいと思います。

しかし、マネープランとしては、資金援助は原則しないのが、親への介護のいわば鉄則です。あくまで、公的介護保険を活用しながら、親の資金(年金や貯蓄など)で行ってください。介護はお金を掛けようと思えばいくらでも掛けられます。親を思うあまり、自分の資金を持ち出すことは、よほどの事態でない限り避けるべきでしょう。結果的に自分の老後を苦しくしますし、自分にお子さんがいる世帯は、その子どもにも将来迷惑をかけてしまうからです。

最後に「雑費」「小遣い」が金額不明となっていて、最終的に収支は十分プラスになるのですから、取り立てて問題視することほどないでしょう。ただし、実際いくらかかっているのかは、今後明確にしておく方がいいでしょう。使途不明金がなくなり、また老後になっての生活費をイメージする材料としても有効となります
(※企業型DCを採用していない企業の従業員が個人型DCに拠出する場合)

教えてくれたのは…… 

深野 康彦さん

業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
(文:あるじゃん 編集部)