Doctors Me(ドクターズミー)- フランスでは8割が選択?無痛分娩の流れ&メリット・デメリット

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無痛分娩は通常分娩とは違い、痛みを和らげる方法を使ったお産のことをいいます。

よく出産を、鼻の穴からスイカを出すくらいの痛さなどと比喩されますが、妊婦さんは心身共にかなりのエネルギーが消耗されます。

海外では主流になりつつある無痛分娩について、出産までの流れはもちろん、メリット・デメリットや危険性について医師に解説をしていただきました。

お産時の痛みの原因



お産時の痛みは、以下の痛みが背骨の中を通る脊髄を通して脳に伝わります。

・子宮が縮む痛み

・子宮の出口や膣、外陰部が引き延ばされる痛み

・会陰部を切開・縫合する際の痛み

など

無痛分娩の種類



麻酔薬



■ 脊髄

以下2つの方法で脊髄付近に麻酔をし、痛みの感覚を止めます。

・硬膜外麻酔:硬膜外というスペースに細いチューブを置き、麻酔薬を入れる


くも膜下麻酔:くも膜下腔というスペースに麻酔薬を一回注射する

■ 外陰部

外陰部に麻酔薬を注射し、外陰部の痛みのみを取ります。

鎮痛剤



腕から注射薬として鎮痛剤を投与し、脳の痛み感覚を麻痺させる方法。

無痛分娩の流れ

 

主に無痛分娩は、「硬膜外麻酔」が行われております。

お産が進んだ状態



陣痛が始まり、ある程度までお産が進んだ段階で、硬膜外麻酔のチューブを入れ、以後の痛みを取る場合です。

分娩を行う施設には産科専属の麻酔科医が24時間常駐していないことが多く、この方法を取るためには、たまたま麻酔科医がいる日中の時間帯にお産が進んでいる必要があります。

お産が始まっていない状態



硬膜外麻酔のチューブを入れ、そこから陣痛促進剤や子宮口を開く処置を行う、いわゆる誘発分娩の一つとして行う場合もあります。

母体の病気などのために通常の分娩には耐えられないと考えられる場合に、予定を立ててお産を行うことになります。

無痛分娩の費用 



健康保険が適応にならない自費診療のため、費用は各施設が独自に決定します。硬膜外麻酔の費用としては
3〜15万円程度のことが多いようです。

無痛分娩のメリット・デメリット



メリット 



■ 疲労や体力消耗が少ない

出産による母親の疲労が少なく、産後すぐに始まる育児を良い状態で開始することができます。

心臓・血管・肺・脳などの病気があるために、体力の消耗が望ましくない場合にも無痛分娩は有利となります。

■ 痛みに対する恐怖心からの精神的解放

痛みに対する強い恐怖感がある人にとっては、楽にお産ができれば、次の子どもを持つことにも積極的になれるかもしれません。

デメリット 



■ お産が進みにくい

いきみの感覚が分かりにくくなり、特に初産ではお産が進みにくくなるということがあるようです。

■ 血圧低下

麻酔薬が血圧調節に必要な神経も麻痺させてしまい、血圧が下がり過ぎてしまう場合もあります。

硬膜外に投与すべき薬がくも膜下腔に入ってしまうと、血圧低下や呼吸停止が起こる可能性があります。

■ 針による傷や感染症

針を刺すときに脊髄を傷つけたり、脊髄液を貯めている袋を傷つけ、髄液が漏れるということがまれに起こります。針穴に感染が起こり、膿の固まりが脊髄を押すということもごくまれにあります。

■ アレルギー、中毒症状

麻酔薬へのアレルギー反応や中毒が起こる場合があります。

無痛分娩は通常分娩より危険?

 

無痛分娩での死亡事例は、血圧低下やアレルギー・中毒症状が起こった場合、すぐに蘇生処置を行う体制が整っていないことが問題であり、無痛分娩自体が危険な方法であるという訳ではないと考えられています。

帝王切開を行う場合、多くはくも膜下麻酔と硬膜外麻酔を併用しますので、無痛分娩と同様のリスクがあります。

日本と海外での無痛分娩率の違い



硬膜外麻酔での無痛分娩率



・フランス:80%

・アメリカ:61%

・ドイツ:18%

・シンガポール・香港・台湾:10〜16%

・日本:2.6%

欧米ならどこでも無痛分娩が多いという訳ではありません。

フランスで無痛分娩が多い理由として、「親は子どものために我慢して当然」という考え方ではなく、親の権利も守られて当然と考えられていることがあるとされています。

アジアでは、シンガポール・香港・台湾など豊かな地域で多い傾向が見られます。

最後に医師から一言



あらゆる医療行為にリスクはつきものです。

しかし無痛分娩でのリスクばかり取り上げられるのは、「母親が痛みに耐えさえすれば、母親や子どもがリスクを背負う必要はなかった」という考え方があるからだと思われます。

「母親が耐えれば済む、無痛で産もうなどとは贅沢、覚悟がない」という考えがある限り、日本での無痛分娩の普及は難しいかもしれません。

(監修:Doctors Me 医師)