『知りたい、楽しみたい!日本の祭り』(三笠書房)

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 夏といえば、花火にスイカ、カキ氷に海水浴……。そして、忘れてはいけない風物詩が「祭り」だ。今週末、東京・高円寺では「阿波踊り」が、浅草では「浅草サンバカーニバル」が、麻布十番では「納涼まつり」が開催されるなど、他国に負けず劣らず日本人は祭りが好きだ。

 「祭り」と聞くとどうしても夏を連想しがちだが、実は季節を問わず、日本各地で開催されている。祭りに疎い人でも、青森の「ねぶた祭り」や京都の「祇園祭り」、徳島の「阿波踊り」などは、きっと耳にしたことがあるだろう。今回は、本書『知りたい、楽しみたい!日本の祭り』(三笠書房)で紹介されている祭りのうち、日本を代表する神社の伝統祭に触れてみよう。

宮崎県の高千穂神社「高千穂の夜神楽」

 宮崎県の高千穂神社では、毎年11月中旬から翌年2月の土曜から日曜の夜にかけて、「高千穂の夜神楽」が披露される。人気の秘密は、やはり天岩戸(あまのいわと)開きの神話に基づいた演目が楽しめる点だ。

 その昔、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、弟のスサノオノミコトの乱暴な行いに腹を立て、天の岩戸に隠れてしまったが、アメノウズメノミコトが踊りを舞い、その楽しそうな雰囲気に天照大御神が思わず岩戸の扉を開け、再び世に光が戻ったという神話だ。
「夜神楽」には、太陽復活とともに鎮魂を祈る冬祭りとしての側面もある。冬の寒さや病・死といった負の力を、春・光・豊穣といった陽に転化する祈りが込められているのだ。

島根県出雲大社「神在祭(かみありさい)」

 島根県出雲大社の「神在祭(かみありさい)」は、日本中の神様を迎える厳かな祭りだ。10月は、日本中の神々が出雲へ出かけてしまうので、一般的には「神無月」と呼ぶが、神々が参集する出雲だけは「神在月」となる。 

 ちなみに、神さまが集まって合議する話題は、もちろん「縁結び」について。毎年10月になると全国から八百万の神が集まり、誰と誰を結婚させるか、年に一度相談するという。そのため、出雲大社は「縁結びの神様」として信仰されている。

 神在祭は、国譲り神話の舞台でもある「稲佐の浜」で行われ、夜7時頃、波の音だけが聞こえる静寂した浜辺で、八百万の神々をお迎えする神事が行われる。

三重県伊勢神宮「神嘗祭(かんなめさい)」

 最後は、三重県伊勢神宮の「神嘗祭(かんなめさい)」を紹介したい。

「神嘗祭」は、恒例祭の中でも最も重要な祭祀となる。五穀豊穣と収穫を感謝し、その年の最初に収穫した稲穂(初穂)を神にお供えする儀式だ。この神嘗祭で捧げられた初穂は、天皇が神とともに食される。つまり、伊勢神宮の神と天皇を親密に繋ぐ祭典でもあるのだ。

 また、伊勢神宮は日本の神の最高神である天照大御神が祀られている土地。神嘗祭で披露される「神楽」は、御祭神を慰めるために行われる舞いだ。きっと見ている者の心も癒してくれるに違いない。

 本書には上記を含め、全国66種もの祭りが紹介されている。今回紹介した祭りは、古来より受け継がれる「神事」だが、一方で神輿や山車がねり歩くような華やかな「祭礼」の祭りもある。今年は日本の伝統文化や神話に触れながら、一味違った祭りを楽しんでみてはいかがだろうか。

文=金本真季