貧困の真実を知るために

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日本はかつてのように、誰もが豊かで平等な社会というのは建前だけの世界になりつつあります。上流と下流社会の間に大きな差があいてしまい、貧困社会が到来しているといえるでしょう。

どんな世界がある?

上間陽子による『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版)では、沖縄における十代の少女たちの貧困の実態が記されています。とはいっても、統計データなどを駆使して大上段にかまえる本ではありません。著者はただひたすらに少女たちに向き合ってゆきます。時に保護者代わりとなって病院や警察へ付きそうこともあります。

夜の街の暮らし

本書に登場する少女たちは、稼ぐために夜の街の仕事をしています。そこで知り合った男性と恋に落ち、再び傷つくといった、不幸の連鎖のような姿もあります。なぜこうなってしまうのか、そこには無力感があるのかもしれませんが、著者は決して少女たちの生き方を否定しません。お説教をすることもありません。著者は研究の一貫として、少女たちに話を聞いてはいるのですが、とにかく相手に寄り添おうとします。彼女たち自身が自分で考えて、歩み出すことを待っているかのようでもあります。貧困というと悲惨なエピソードばかりが語られますが、本書はあたたかみに満ちています。それは著者の人柄の現れでもあるでしょう。