『嫌がってるキミが好き』(鬼山瑞樹/実業之日本社)

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 縛られた女子高校生の足にゴ○ブリが這っているすごい絵面のあるマンガ『嫌がってるキミが好き』(鬼山瑞樹/実業之日本社)。万人受けはしないだろうけど、私はずっとこういう「ヤバイ」マンガを待っていたと声を大にして言いたい。

 「心が温まる」「読後感が爽やか」な話の好きな人は、読まない方がいいだろう。むしろ心はヒヤッとするし(夏にはいいかも)、読後感は何とも言えず、「うげぇ……」って感じになる。けれど、ハマる人にはハマること間違いなしの一冊だ。

 女子高校生の白川みことは、自分ではイケてると思っているが、周囲はそう見ていない見栄っぱりでちょっとおバカな残念女子。ある時、冴えないクラスメイトの大槻まことに告白をされる。みことは全く興味を持っていなかったが、「彼氏持ち」というスペックがほしいばかりに、まことと付き合うことに。

 しかし、まことは可愛らしい見た目に反して、色々な意味で「ヤバイ変態」だった。人が嫌がったり、泣いたり、不快そうにしている顔を見ると興奮するという性癖を持っている。

 初デートはみことの家でDVD鑑賞……しかし、まことが用意したのはグロいスプラッタ映画。まことはみことがドン引きしている顔を見て勃起するような男だった。さらに、みことの歪んだ顔を見たいあまりに、殴ったり、お漏らしさせたり、首輪をプレゼントしたり、猫のエサを食べさせたりと、まことの行動はエスカレートしていく。

 だが、友達に自慢したいがため、「彼氏持ち」という肩書を失くしたくないみことは、まこととの付き合いを続ける(こんなことをされても別れないみことも大概変な子だと思うが、10代の女の子が「彼氏持ち」に異常に執着する気持ちは分からんでもない……)。

 本作、エロチックな描写も多々あるのだが、作者が女性のためか、性的興奮を促すようなエロい展開にはなっていない(エロさより、まこと君の気持ち悪さが勝っているだけかもしれないけれど)。また、展開として「明るさ」はないはずなのに、本作はどこか喜劇っぽく読めて、気分が暗くなるような重々しい話ではない。まこと君のやることなすこと酷いし変態なのに、どこか滑稽さがあるというか、笑える部分も多いのだ。そういった作者ならではの、独特な世界観も私は好きだ。

 本作は続き物で、現在2巻まで発売されている。1巻はただただ、まこと君の異常さに震え、2巻ではまこと君の家庭環境や過去の話にも触れられる。まこと君は現在、「元」隣のお兄さんと一緒に暮らしているようだが、それは一体どういうことなのだろうか。両親はいないのだろうか? お兄さんもまこと君に負けず劣らずの異常性を持っているようだが……。

 1巻の段階では、「キワモノ」としてインパクト勝負な展開が多かったが、2巻からはしっかりと「物語」として気になるものとなっている。ややサスペンスっぽくもなってきているので、続きが楽しみだ。

 決して「いい人」じゃないけど、どこか憎めないみことちゃんとまこと君。二人の奇妙で変態なラブストーリーが、今一番気になって仕方がない。

文=雨野裾