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●日本マイクロソフト本社に「クリエイティブ スペース」

働き方改革は、自分たちが"モルモット"になって体感したことを提案している――。こう語るのは日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野 拓也氏だ。

同社とスチールケースは8月24日、働き方改革の推進に向けた協業を発表、SurfaceやOffice 365を活用した「クリエイティブ スペース」を共同で展開する。米Steelcaseは世界最大級のオフィス家具メーカーで、米Microsoftと今年の3月にパートナーシップを結んでいる。

○テクノロジーとオフィス家具の融合

クリエイティブ スペースは、世界で4例目、アジアで初の展開となる。両社は、いわゆる「働き方改革」が目指す「生産性の向上」に加え、テクノロジーが業務に深く関わるようになればなるほど、人々は創造性、つまりクリエイティビティにフォーカスする必要があると指摘。そのためオフィスに必要となるのがクリエイティブ スペースだという。

スチールケースによれば、日本の従業員による職場環境満足度は非常に低く、職場環境に不満を持って従業員エンゲージメント(会社への貢献意欲)とのクラスター分析で61%が「低い」という回答になった(グローバル平均は37%)。さらに問題となるのが「エンゲージメントが非常に高く、職場環境満足度も非常に高い」という最高レベルの環境の人の割合で、グローバル平均が13%であるのに対し、日本ではわずか1%にとどまった。

記者説明会に登壇した米Steelcase CEOのジェイムス・P・キーン氏は、クリエイティブ スペースのような従来とは異なるオフィス環境の必要性について「テクノロジーとオフィス家具がいかに融合していくかが今後重要になっていく。次世代の生産性を解き放つうえで、人々が個々に集中し、そして共同し、多様性を持ってさまざまなアイデアがある環境にすることで、人々の潜在能力をすべて解き放てる」と話す。

一方で日本マイクロソフトでも、クリエイティブ スペースを品川本社ビルに設置し、次世代のオフィス環境を訴求する場を整備。生産性をテーマに掲げるソリューションスペシャリスト120名をトレーニングし、顧客に対してOffice 365やデジタルホワイトボードのSurface Hub、その他Surface製品とともに、スチールケースのオフィス家具の導入、オフィス環境の提案を行っていく。スチールケースはMicrosoft Azure IoTを活用したオフィスソリューションを今後提供する予定で、こちらも今後は展開していくという。

●コアタイム廃止、でも「ほとんどの人がオフィスで仕事」

平野氏の冒頭の発言は、これまでも、そしてスチールケースとの協業においても経験談を顧客に対して説得力のある形で訴求していくという意思の表れだ。

日本マイクロソフトは2014年から「テレワーク/働き方改革週間」を主催するなど、同社のAzureやOffice 365のクラウド製品訴求を、「企業文化」を変えるところから支援してきた。もちろん、支援するためには自社も実践しなければ説得力がない。

そこで、2016年5月に「テレワーク勤務制度」をスタートし、従来の在宅勤務制度における勤務場所の自宅固定を取りやめた。利用頻度や利用期間、申請なども撤廃し、フレックスタイム制度のコアタイムも廃止した。その結果、何が起きたか。「ほとんどの人がオフィスに来て仕事をしている」(平野氏)。

リモートワークの割合は確かに上がったものの、「フェイス・トゥ・フェイスが一番であることは変わらない」(平野氏)ことから、そうした結果に行き着いたという。育児や介護といった事由に寄り添った働き方ができるメリットは計り知れないが、"平均的社員"にしてみればオフィスで共に仕事を第一と考える人が大半を占めるわけだ。

それが今回のようなオフィス環境の変革を必要とする最大の理由であり、「モルモットで体感した提案」がクライアントに響くポイントにもなりうるだろう。

「フェイス・トゥ・フェイスの効率的な働き方、そしてクリエイティビティの最大化を考えた時に、クリエイティブ スペースがキモになる。今までにない軸でアイデアを出す必要がある時、社歴が長いほど、成功が続いている環境ほど、勝ちパターンにとらわれてしまう。私自身、室内の打ち合わせでかつては座っていたが今は立ってディスカッションしている。レイアウトを変えて、視線を変えてアイデアが変わることを体感しているからこそ、オフィスを新たな次元へという提案は個人的にも納得している」(平野氏)

昨今の各種報道から人事制度改革にばかり目が行きがちだが、従業員は何も就業時間の短縮のために仕事をしているわけではない。従業員が仕事に集中し、それが社内で有機的に結びついてこそ最高の"働き方改革"と言えるのではないだろうか。