舞台「煉獄に笑う」をきっかけにCDデビュー! 崎山つばさが見せる躍進のとき

舞台「煉獄に笑う」の初日公演で、崎山つばさのアーティストデビューが発表された。舞台の劇中歌として流れる、和の音色と崎山ののびやかな歌声が重なった楽曲こそが、彼のファーストシングル。今回の取材は、そのMV撮影のさなかに行われた。音楽活動に際し、「もともと、歌は苦手なジャンル」と前置きをしながらも、「新たなスキルアップにつなげたい」と前向きさを見せる崎山。ミュージカル作品などの出演を経て、歌への姿勢はどう変わっていったのか?

撮影/川野結李歌 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.

苦手だった歌への挑戦…「やってやろう」という意識

CDデビューのお話を聞いたときの心境は覚えていますか?
ミュージカルなどで歌の経験はありましたが、僕名義のソロと聞いて「大丈夫かな?」と思いました。本当に出すの? ドッキリじゃないのかな? などといろいろ考えていたのですが(笑)、せっかくお話をいただいたのであれば、やってやろうという感覚でした。
音楽というジャンルへの興味はもともとありましたか?
いや、全然です。もともと歌とダンスは苦手なジャンルで…。高校生の頃、友達に「音痴」と言われていたくらいですし…。歌うことは好きなんですが、自信を持って「歌ができます!」っていうレベルではないかなと…。
そうだったんですね…。
でも、お仕事を通して歌を教えてもらっていくうちに、歌い方、表現の仕方を知って、楽しさも覚えてきました。歌うことも芸能界で活動していく選択肢のひとつになるのかな、と最近考えられるようになったんです。
ミュージカルなどの経験を経て、少しずつ歌への可能性も感じてきた?
胸を張れるかと言われたら全然で、まだまだ克服していかないといけない点はたくさんあるんですが、昔に比べたら…という感じですね。
ファーストシングルとなる『月花夜』は、どんな楽曲ですか?
和楽器界で活躍中の奏者のみなさまがついてくれていることもあって、和のテイストが強い楽曲になっています。衣装もそうですし、MVにも和のモチーフがふんだんにあしらわれていて、日本人ならではの「これぞ和」が強調されていると思います。
和の音色がすごく心地よくて、聞き入ってしまいますね。
そうですね。歌詞もどこか切ない感じではあるんですが、メロディが耳に残りやすいので、一度聞いたら自然と鼻歌を歌ってしまうような曲になっています。僕はとてもお気に入りですね。
レコーディングでは、どういう部分を意識されましたか?
やっぱり、“和”というのは意識しました。和楽器バンドさんのツアーファイナルを見させていただいたときに、“和”的な歌い方を勉強させていただきました。
どんな部分が勉強になったと感じたのでしょうか?
言葉で説明すると難しいんですが…語尾の伸ばし方とか、言葉の強弱のつけ方とか。切ない歌詞のなかでも、言葉の波を強くする部分をつけて、強弱を強調させるというのが一番大事なことだと感じたので、それをレコーディングで自分なりに表現してみました。
感じたことを、自分のなかにすぐ取り込めて表現できましたか?
いや〜…難しい!(笑) やっぱりそんな簡単には出せないです。和楽器バンドさんは何年もやられているプロなので、そのテクニックには及ばないなと思いながら。「こういうふうに歌ってみて」っていうディレクションをいただいて、自分のなかで試行錯誤しながらレコーディングに臨みました。

個人名義の曲でも、“役を演じる”感覚は変わらない?

今回、個人名義の曲という意味での難しさはありましたか?
いや…そんなにありませんでした。僕自身が歌っているんですけど、歌詞の物語や情景を自分のなかに取り込んで歌うという意味で、“役を演じる”感覚に近いのかなと…。
物語の世界観を表現するという意味では、演じることと遠からずということですか?
そうですね。もちろん、キャラクターに寄せた歌い方を意識しなくていいという点での違いはありますけど、それ以外に難しさや違いは感じませんでした。
楽曲は、舞台「煉獄に笑う」の劇中歌として流れていますが、今(※取材が行われたのは8月上旬)の段階で舞台の共演者の方にCDデビューのお話はされましたか?
してないです(笑)。そもそも、「CDデビューするんだぜ〜!」なんて言えないですよ!(笑)
(笑)。
たぶん、稽古場や本番で流れたら簡単にバレると思うんですけど、恥ずかしいので内緒にしたいくらいなのが本心です(笑)。
先ほど、「もともと歌は苦手」とおっしゃっていましたが、カラオケに行ったりすることはありますか?
ひとりで行くことはあります。友達と一緒に行くっていうよりかは、空いた時間で気軽に、暇つぶしの感覚で行くくらいですね。
崎山さんは、どんな歌を歌われるんでしょう?
そうですねー…けっこう幅広いです。もともとバンドが好きなので、中学生、高校生のときに聞いていたバンドの曲とか。BUMP OF CHICKENさんがずっと好きなので、その曲を歌ったり…。
学生の頃、カラオケに行ったりは?
高校生の頃、友達に誘われてカラオケに行きはじめました。先ほどお話した通り、僕は「音痴」と言われていたので、友達とはいえ、人前で歌うのがイヤで…。でも「お前も歌ってみろよ」って言われてイヤイヤ歌ったら、「意外とイケるじゃん!」って言われた思い出があります(笑)。
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