コンディションに不安を抱える選手が多いなか、ハリルホジッチ監督はオーストラリア戦に向けて27人を招集。杉本が唯一、初選出となった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 ワールドカップ・アジア最終予選のオーストラリア戦(8月31日)とサウジアラビア戦(9月5日)に臨む日本代表のメンバーが発表されたね。
 
 サプライズはセレッソの杉本が初選出されたくらいで、小林祐や柴崎は復帰したけど、ほぼ不動の顔ぶれとなった。メンバー発表の直前にハリルホジッチ監督はACLのフロンターレ対レッズの試合を視察したけど、調子が良かった小林悠や大島よりも、やはり海外組のほうが信頼を置けるということなんだろう。アントラーズの金崎を含めてアピールをしていた選手はいただけに、少し残念に感じたよ。
 
 でも、オーストラリア戦はハリルホジッチ監督にとって進退の懸かった一戦になるから、自分が最も信じられるメンバーを選ぶのは致し方ない。これで言い分けはできなくなったわけだし、もし、オーストラリアに敗れれば、クビになってもおかしくないよ。

 ただ、大一番に向けて不安は尽きない。CFの軸だった大迫が7月下旬に右足首の靱帯を痛めるなど、コンディションが整わない選手が目立つ。ハリルホジッチ監督は、アクシデントに対応できるよう、27人の選手を招集したが、苦しい台所事情に変わりはない。この27人をどう料理するのかは興味深いよ。
 
 そのなか、オーストラリア戦のポイントになるのはスタメン選びだろう。90分をフルに戦い抜ける選手をスタートから何人送り出せるか。そこが勝負の別れ目だ。選手たちのコンディションを見極めるのが最優先事項で、くれぐれも試合の途中までしか体力がもたないような選手を使う事態は避けてもらいたい。
 
 現状では、CFに岡崎、左右のウイングに原口と本田、トップ下に香川、ボランチに山口と長谷部、最終ラインに長友、吉田、昌子、酒井宏、GKに川島という11人がスタメンに近いんじゃないかな。でも、本田はパチューカでのデビュー戦でゴールを奪ったけど、後半途中からの出場だったし、チームが3-0というリードを得ていた状況でもあっただけに、正当な評価はできない。怪我明けの長谷部、香川の状態も気がかりだ。

【日本代表PHOTO】豪州・サウジ戦へ向けた招集メンバー27人
 
 僕だったら先発に好調な杉本を起用するね。彼に前線をかき回してもらい、相手の出鼻を挫く。そして、本田、岡崎ら経験のある選手を勝負どころで投入する。これが理想的な展開だよ。ただ、大一番で杉本を抜擢する度胸がハリルホジッチ監督にあるか。
 
 そもそもオーストラリア戦への準備期間は非常に短い。国内組、海外組ともに週末のリーグ戦を戦ってから集合するわけだし、短期間で選手たちのコンディションを調整しなくてはいけない。その意味でハリルホジッチ監督のチームマネジメント術がなにより重要になる。自分が信じたメンバーと心中する想いで試合に臨むのなら、止めはしないが、冷静な状況判断が必要だ。
 
 もし先発をいつもと変わらないメンバーにするなら、せめて交代策でチームを活性化してもらいたい。6月のイラク戦では井手口、酒井宏、久保が相次いで負傷するアクシデントに見舞われたとはいえ、原口を倉田に代えるタイミングが早すぎた。イラク戦のように試合の流れを読み違えると、致命傷になる。
 
 極端なことを言えば、最終戦のサウジアラビア戦への準備はまず考えず、オーストラリア戦に全神経を集中すれば良いと思うんだ。引き分けではダメ、絶対に勝たなくてはいけないと、覚悟を決める。それくらいの気持ちで挑まないと、ワールドカップ予選では一度も勝ったことのないオーストラリアを破るのは難しいよ。
 もっとも、8月29日(日本時間30日)のサウジアラビア対UAEの試合結果も、オーストラリア戦に少なからず影響しそうだ。
 
 もしサウジアラビアが勝てば、勝点19となり、グループBの1位へと躍り出る。その時点で日本は勝点17の2位、オーストラリアは勝点16の3位。その後、日本がオーストラリアに敗れるようなことになれば、日本はオーストラリア、サウジアラビアと勝点2差で最終戦を迎えなくてはいけない。
 
 最終戦の舞台は高温多湿なサウジアラビアだ。ただでさえコンディションに不安を抱える選手が多いだけに、やはりオーストラリア戦に勝って、1試合を残してワールドカップ出場を決めるのがベストと言える。
 
 もしグループ3位で最終予選を終え、プレーオフに回れば茨の道が待っている。監督交代という事態になればチームは混乱するはずだし、ワールドカップに出場できない可能性だって出てくるよ。