夫婦

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「夫は自分のことを話してくれない」「夫が本音をいわない」と感じている妻は多い。そんなとき、妻はどうすれば改善に近づけるのか。夫婦再生カウンセラーの下木修一郎さんに話を聞いた。

●妻の「共感」が足りているか振り返る

アリゾナ大学とテキサス大学の科学者たちの研究によって、女性は友人や芸能人など『人』に関する話題を好むのに対して、男性は車や機器などの話題を好むという検証がなされた。(2017年7月:米科学誌「サイエンス(Science)」より)

「そもそも男女で話したい内容が違うという性質の違いに加えて、妻は『夫と話したい』という思いから夫が得意であろう話を振りますが、仕事の話をされてもよくわからず、結局おざなりな返答になって夫が『聞く気がないのか』とウンザリするケースが少なくありません」(下木さん 以下同)

夫の仕事の話など、専門的な話を妻が理解するのは確かに難易度が高い。だがそこに「共感」があれば、話の内容がすべて理解できなくてもコミュニケーションは向上する。

下記の2つの文章を比べてみよう。

・「私には仕事のことはよくわからないけど、がんばってね」

・「私には仕事のことはよくわからないけど、あなたはすごくがんばってる」

「上の文章と下の文章を比較すると、下の文章には妻の夫に対する共感があると思いませんか? ささいなことですが、『がんばってね』と突き放すよりも、『あなたはがんばってる』と相手を認める一言があるだけで、夫は『妻は自分をわかってくれてるんだな』とうれしく思うのです」

もちろんこうした共感性のある会話をするには、「相手を知りたい」という関心が必要不可欠だ。

●夫は、家に帰るとのんびりしたい

「男性は仕事モードと家モードがわかれている人が多く、『家』という落ち着ける場所に帰ってきたらのんびりしたいんです。そこで妻からのマシンガントークや質問攻めにあうと、欲求不満になり、そっけなさや会話不足につながっていく危険があります」

下木さんによると、夫が帰ってきたら「お帰りなさい、お疲れさま」のひと言をかけて、30分くらいは夫が自分の時間を持てるように放置するのが有効だとか。さらに夫が「本当に疲れたよ」などと言ってきたら「大変だったね」と、状況をそのまま受け取ることで、夫は安心をおぼえる。

●そもそも、なぜ本音を話してほしいのか考える

そもそも妻はなぜ夫に本音を話してほしいと考えるのか。

「本音を話してほしいという欲求の正体は『相手が何を考えているかわからない』という不安です。不安は相手に伝わるので、受け手である夫にとっては、『本音を話して』という言葉は居心地のいいものではありません。その最たる言葉が『愛してる?』という質問ですね」

極論をいえば、妻は本音を知りたいというより、「自分が愛されているかどうかを確かめたい」だけかもしれない。こうした不安を取り除くためには、夫が自分にしてくれたことを振り返り、感謝の気持ちを持つことが大切だそう。

「僕がクライアントにおすすめしている『してくれた帳』を実践してみましょう。やり方は簡単で、夜寝る前に3分間、夫が自分にしてくれたことをノートに書き出す、これだけです」

「夫がおはようとあいさつしてくれた」「ありがとうと言ってくれた」など些細なことでよいので、毎日少しずつ書き出していくと、相手から愛されていることを実感し、ささやかなことでも幸せを感じられるようになってくるという。

「家事や育児など『自分のほうが大変だ』と思っているから相手に不満を持ち、期待をしてしまうのです。『してくれた帳』で感謝をたくさん積み重ねていけば、小さなことに気づき、余裕をもって相手を観察しながら接することができるようになりますよ」

日常の小さな幸せに感謝しながら相手のしてほしいことを観察し、想像することが、夫婦のコミュニケーション改善の近道となる。

(取材・文:北東由宇 編集:ノオト)

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