翁長雄志知事をはじめ沖縄の人々は辺野古問題や沖縄いじめに抗議しているが、状況は改善の兆しすら見えない。このような非人道的な事態を決して許してはならない。(写真は翁長雄志オフィシャルウェブサイトより)

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 痛ましい事件が起こった。昨日午前6時まえ、沖縄県名護市辺野古のキャンプ・シュワブのゲート前で、男女2人がひき逃げにあったのだ。2人は普天間飛行場の辺野古移転に対する抗議活動のため、ゲート前に来ていた沖縄市在住の83歳の女性と、大阪市在住の69歳の男性。ともに、歩道の縁石に座っていたところ軽自動車にひかれ、車はそのまま逃走、女性は左足の骨を折る大ケガ、男性も足をケガするなど重軽傷を負った。幸い命に別状はないようだが、警察発表によれば、2人は座って話し込んでいたところ車に足をひかれたという。

 現場は、連日多くの人々が移転反対の抗議活動を行っている場所だけに、先日、米バージニア州シャーロッツビルで起きた、あのヘイトクライムが想起される。白人至上主義者らに抗議する反差別グループに、白人至上主義者車が猛スピードで突っ込み死者が出た事件だ。

 今回のひき逃げ現場は、車道側に足を出して座っていたとはいえ、現場映像を見ても片側1車線の見通しのよい直線道路。地元紙の沖縄タイムスには「被害女性から話を聞いた男性によると、白い軽自動車がスピードを緩めず突っ込んできたという」との目撃談も掲載されている。抗議活動を狙ったヘイトクライムの可能性を指摘する声もある。もちろん事件になんらかの背景があるか否かは、警察の捜査を待つしかない。

 しかし、このひき逃げ事件をめぐって、いまネットでは異常と言うほかない事態が起きている。被害者の2人に対して、ネトウヨたちが卑劣な罵詈雑言を浴びせているのだ。

〈米軍ゲート前の歩道縁石に座って嫌がらせしていたサヨク2人がひき逃げされ〉
〈どうせ道を不法に塞ぐプロ市民なんだから自業自得〉
〈なんだ、死んでねぇのか。道路に身を投げだして命かけて反対してみろよww〉
〈轢かれるような座り方をしていたようだ。裁判になってもかなり過失相殺されるだろう。〉
〈車の前に立つから轢かれるんだろうが、ボケ! わざと当たっていきゃ轢かれるよくそども。〉
〈轢かれるような位置に立って、おかしな行為を行っているからだろ〉
〈パヨク市民2人が重軽傷〉
〈道路に突っ立ってたり寝そべってたりと通行の妨げしてたんじゃ?って思われる。〉
〈自分らは法を破って好き勝手なのに、こんな時だけ法を頼るなんて恥知らず〉
〈どうせ違法検問しようとして当たり屋のように轢かれたが正解やろ?〉

 被害者の2人が米軍基地に対する抗議活動を行っていたことを理由に、まるで「ひかれても仕方ない」「ひかれるほうが悪い」などと、まるで被害者のほうに非があると言わんばかりの攻撃を浴びせている。「ひかれても仕方ない」ような行為が存在するとも思わないが、座り込みは、圧倒的な権力をもって辺野古移転を強行する国家の横暴に対する市民の正当な抗議手段だ。それ以前に、あらためて言うまでもないが、2人はひき逃げの一方的な被害者である。これを"どっちもどっち"とは、トランプやアメリカのオルタナ右翼そのものではないか。それどころか〈犯人は愛国無罪でOK。〉〈 危険で違法な抗議活動している市民を捕らえないと、ドライバーがかわいそう。〉など、逃亡を続けるひき逃げ犯のほうを擁護する声まである。

 また、被害者による自作自演を唱えるものや、被害者のひとりが大阪市から来たことをあげつらい、"過激派""プロの活動家"などと糾弾する声もある。

〈軽自動車? 自作自演? ご苦労様です。〉
〈大阪市の男性(69)がなぜ辺野古の「住民」なんだ? 「市民」じゃなく、共産党系の左翼活動家だろ。〉
〈やっぱ反対してる奴の半分は県外の奴だよな 本土から来たプロ土人 パスポートの色が違う人の可能性もあるねw 自作自演だな。放置で構わんぞ〉
〈 沖縄県外からきたプロパガンダ市民だよ。歩道の縁石に座って車道に足出してりゃ轢かれるわバーカ。そのままミンチになって死ねば良かったのに。〉
〈大阪の人は滞在費は自費ですか?〉
〈反日左翼が被害者だったら、ひき逃げ犯も反日左翼テロ破壊活動家の疑いあり?〉
〈自作自演か、法律違反を厭わないお仲間の活動家にひき逃げされたんじゃねーの?〉
〈支那や北の手先の自作自演〉
〈大丈夫大丈夫!どうせ「沖縄」県民じゃないから〉

 こうした「プロ市民」「プロ活動家」攻撃も、日本でもネトウヨや右派陣営が、さんざん常套句として撒き散らしてきたロジックだ。たとえば沖縄デマ報道で大問題になった『ニュース女子』などでも垂れ流された、"反対派は日当をもらって本土からきているプロ市民""反日組織に日当をもらって組織的に雇用されている"というやつである。その先には"沖縄で活動しているのは中国(時に北朝鮮だったり、韓国だったりもするが)の手先"という、妄想も甚だしい結論に行き着くのだが、もちろんこれらがすべてデマだということはとっくに証明されている。しかし、ネトウヨたちは、今回のひき逃げ事件の被害者にまで、こうした沖縄ヘイトデマや陰謀論をもち出し攻撃するのだ。

 ネトウヨたちの頭の悪すぎる、沖縄いじめ、沖縄ヘイトには毎度毎度うんざりさせられるが、それにしても今回のようなひき逃げという卑劣な犯罪の被害者にまでこの罵詈雑言は、本当に異常としか言いようがない。

 冒頭でも述べたように、今回のひき逃げ自体はヘイトクライムではない可能性も、もちろんある。しかし仮にひき逃げそのものがヘイトクライムではなかったとしても、ネット上にあふれかえる被害者たちへの罵詈雑言や沖縄ヘイトを見ていると、シャーロッツビルで起きたヘイトクライムと地続きの事態がすでに起きていると言わざるを得ない。
(伊勢崎馨)