23日、敵からの軍事的侵略などによる「戦時」に備えるための避難訓練「民防空待避訓練」がソウルなど韓国の40都市で行われたが、市民たちの反応は薄く、形式的なものに終わってしまったようだ。写真は韓国の中学校(資料写真)。

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2017年8月23日、敵からの軍事的侵略などによる「戦時」に備えるための避難訓練「民防空待避訓練」がソウルなど韓国の40都市で行われた。今年は北朝鮮と米国の対立が激化し緊張状態が続く中、実際の戦闘機や有色煙幕弾も使用し空襲に備えるための実践的なものになるはずだったが、韓国メディアの報道をみると、市民たちの反応は薄く、訓練は形式的なものに終わってしまったようだ。

午後2時、空襲警報のサイレンが鳴り響くと、職場や通りにいた人たちが地下へと避難を始めた。韓国政府が作成した「非常時の国民行動要領マニュアル」に沿ったもので、爆発の衝撃から身を守るのに最適とされる地下鉄駅や、ビルの地下4〜5階に向かう。

しかしこのように「正しい行動」を取らなかった市民も少なからずいたようだ。訓練時のソウル駅の様子を伝えた世界日報によると、行き来する市民の間に緊張感はみられず、待合室のテレビで訓練に関する特集番組が始まっても、テレビ画面には目もくれず自身のスマートフォンを操作する人が大半だったという。この日訓練があることさえ知らなかったという32歳の会社員の男性は、取材に対し「適切な訓練だとは思うが、正直なところピンと来ない」と話した。

MBCなどによると、訓練をはなから無視する市民の姿も街には目立ったそうだ。サイレンが鳴ってから15分間は建物内に待機しなければならないが、道行く人たちは足を止めない。駅舎を出ようとする人を警察官が止めても、そのまま通り過ぎたり、警察官にイラつきを示したりする人もいたという。また繁華街では店に流れる音楽や車が行き来する音で、空襲警報自体が聞こえにくい例もあった。

さらに訓練時、自治体職員など公務員は市民らに避難を呼び掛ける役割も求められているが、ソウル市内では、訓練などまるで自分たちと関係ないかのように道端で雑談をしながら「待避時間」をつぶす若い公務員たちの姿もみられた。

子どもたちが登校していた学校での訓練にも問題が見つかった。朝鮮日報によると、地下に逃れるべき訓練にもかかわらず、この日、多くの学校の子どもたちが建物の1階やグラウンドに集合避難したというのだ。

専門家は「敵の爆撃にさらされるグラウンドに出るのは自殺行為。建物の1階にとどまっても、空襲や化生放(毒ガスなどによる攻撃)の危険があるのは同じこと」と指摘するが、同紙が調べたところ、そもそも逃げるべき地階を持たない学校が大半であることが分かったという。地下のない施設の場合、ソウル市教育庁のマニュアルによれば「1階玄関・教室や裏山」などが避難場所とされているが、こうしたマニュアルの是正が急務であることが判明した。

この日の訓練の実態に、ソウルに住む67歳の男性は「以前は民間防衛訓練といえば国民が熱心に参加したものだが…。こうしているうちに北朝鮮が本当にミサイル1発でも撃ってきたら皆どう対処するつもりなのか」と懸念を口にした。韓国の大手メディアも訓練に対する市民の無関心の問題について数多く取り上げ、ネットユーザーの大きな反響を集めている。訓練自体は実践的とまでいかなかったが、韓国国民の関心を多少とも高めるきっかけにはなったのかもしれない。(編集/吉金)