[8.23 第29回ユニバーシアード競技大会・台北大会GL第3節 日本代表2-1ウルグアイ代表]

 MF柴戸海(明治大4年=市立船橋高・浦和内定)は玄人好みのボランチ、いわゆる”いぶし銀プレーヤー”だ。激しいコンタクトプレーにもほとんど表情を崩さず、淡々と相手の攻撃の芽を摘んでいく柴戸を、チームメイトたちは“クールなサイレントキラー”、”ハードな潰し屋”と呼ぶ。

 そんな柴戸が、この大会で静かな脱皮を見せている。もともと、ボランチとして守備能力の高さには定評のある選手。高校時代にセンターバックだった経験を活かし、このチームでは試合途中からセンターバックでプレーすることもあった。強烈なミドルシュートでゴールを狙うことはあっても、前に出過ぎることはない。

 ちょうど1年前、全日本大学選抜として、この台北の地で台湾代表と親善試合をしたときには、自らの役割を「リスク管理やカウンター対策。あとは(ボランチでコンビを組む)重廣を上がらせること」と語っている。

 しかし今大会での柴戸は、“守備職人”の枠を超えるプレーで、活躍の幅を広げている。ファーストラウンドではどうしても格下相手に主導権を握る展開が多いこともあり、「ボールをもてる分、アクセントとなるプレーや、直接ゴールに関わるプレーを増やしたい」と言い、「数字という結果を残すためにも、ゴールやアシストにはこだわっている」と語る。

 以前よりもゴールに直結するパスが増え、自身も前に出て攻撃に絡むようになった。カナダ戦での得点は、まさにそれを裏付けるようなゴールだ。MF守田英正(流通経済大4年=金光大阪高・川崎F内定)の右からのクロスに対し、「ダイレクトのイメージがあった」と、そのまま右足で叩き込んだ。

 ウルグアイ戦でFW中野誠也(筑波大4年=磐田U-18・磐田内定)のPK奪取につながったパスは、ユニバ代表立ち上げ時からのチームメイトである、中野との信頼関係から生まれたもの。

 「誠也はいつもああいう動きをする。あそこに走るのはわかっていた」として出した縦へのパスが、ウルグアイのファウルを引き寄せた。そうした変化はこのチームの力に依るところが大きい、と柴戸。「周りがうまい選手ばかりだから、自分も自然と攻撃に関われるようになった」。

 とはいえ、柴戸の最大の武器はやはり守備。「世界を相手に戦える機会はそうない。守備で相手の攻撃の芽を摘むという部分を、この大会で磨いていきたい」と、その軸はぶれない。そのうえで「もっと自分自身にチャレンジしたい」という欲も出てきた。“サイレントキラー”からアピールするボランチへ。チームを守備で支える仕事人が、攻撃面でも飛躍しようとしている。

(取材・文 飯嶋玲子)

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