イタリアのイスキア島で発生した地震で損壊した家屋。国家警察が上空から撮影した動画より(2017年8月22日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】また地震に見舞われたイタリアで、まん延している違法建築が何百万人もの命を危険にさらしていると、専門家らが23日、改めて警鐘を鳴らした。

 21日にナポリ(Napoli)湾に浮かぶ人気観光地イスキア(Ischia)島で発生した地震では、家屋が倒壊して女性2人が犠牲になった。これを受けて、特に家屋の新築や改築の際に違法行為が横行していることを自省する声が強まっている。

 地質学者らは、マグニチュード(M)4.0といった比較的弱い地震で死者が出るのはあり得ないと訴え、また国の市民保護局は、同島の「多くの建造物が粗悪で違法な建材で建てられている」ことが原因だと指摘している。

 同島では過去30年間に住民から出された建築法違反の赦免要請が数万件に上っている。当局が違法建物を取り壊そうとして激しい怒りを買い、地元住民が機動隊と衝突する事態にも発生。こういった小競り合いがイタリア全土で日常茶飯事となっており、特により貧しい南部で目立っている。

 イタリア国家統計局(ISTAT)は昨年、「違法建築の明らかな増加」を警告。新築物件100軒中20軒近くが違法とみなされ、この数は南部の一部地域では100軒中60軒に上った。

 粗悪な建築資材や無許可の増築で危険とみなされた一部建物には解体命令が出ているが、実行されたのはわずか10%程度にとどまっている。

■天災ではなく人災との指摘も

 違法建築が最も多いのはカラブリア(Calabria)州で、シチリア(Sicily)州とバジリカータ(Basilicata)州がそれに続く。

 ただ専門家らが「イタリアのロシアンルーレット」と呼ぶのは、ナポリ(Naples)やイスキア島があるカンパニア(Campania)州だ。違法家屋に加え、高い人口密度、活火山のベスビオ(Vesuvius)火山と、非常に危険な要因が重なっている。

 カンパニア州内で最もリスクの高い地区には、学校4500校以上、病院259か所、建物90万件近くが存在する。

 ナポリにあるイタリア国立地球物理学火山学研究所(INGV)のステファノ・カルリーノ(Stefano Carlino)研究員は、「少なくとも過去20年間、科学界は関係機関に問題を説明し、何より防災対策を促してきた」と話す。

 同国ではちょうど1年前に中部で発生した地震でも、299人が犠牲になった。地質学者のマリオ・トッツィ(Mario Tozzi)氏は、子どもたちががれきの下に生き埋めにされるのは天災のせいではない、「腐敗や政治の無力さ、われわれ国民の歴史から学ぶ能力の欠如」のせいだと断じている。
【翻訳編集】AFPBB News