町長を含む120人が嘆願書に署名(写真は三木町公式HPより)

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香川県三木町の上下水道課係長の男性職員(38)が飲酒運転のすえ、信号待ちの車に追突するという事故を起こし現行犯逮捕された。

こうした不祥事は過去の似た事例からすると一発で懲戒免職になるケースのようだが、なんと、町長以下が高松地裁に情状酌量を求める嘆願書を提出した。情状酌量を求めたのは町長のほか副町長、教育長を含む職員の約4分の1にあたる120人だ。この飲酒運転事故を起こした職員は、どれだけ人望が厚く、人気者なのだろうか。

一発で懲戒免職になるケースでは?

J-CASTニュースが2017年8月24日に三木町に取材したところ、事件はこんなあらましだった。職員は17年2月4日夜に同僚6人と飲食店を梯子し、深夜に同僚一人を乗用車に乗せて運転した。そして運転中に信号待ちの車に追突したため、警察が出動した。呼気から基準値の3倍以上のアルコールが検出され、職員は飲酒を認め現行犯逮捕された。高松地検は悪質な行為と判断し17年6月に在宅起訴処分にした。

一般的にこうした場合は一発で懲戒免職になるケースとされるが、そうならなかったばかりか、情状酌量を求める嘆願書が町職員の手によって作られることになる。担当者によれば、職員の有志が署名を集めたのだという。それに町長や副町長、教育長も賛同した。この情状酌量というのは、執行猶予を含め禁錮刑以上が確定すると公務員は失職すると地方公務員法に定められているからで、失職させないため罰金刑をお願いしたい、というもの。職員側の弁護士は罰金50万円が相当と主張している。

しかし、筒井敏行町長までもが職員を失職させず継続して働かせたいと思っているのはなぜなのか。

「う、うぅ〜ん」と唸るだけの担当者

実は町長、2月に事故が起きた時に地元メディアに対し、

「町政に対する皆様の信頼を裏切る結果を招き心よりおわび申し上げます」

などと謝罪をし、信頼回復に努めたいとしていた。しかし、今回の嘆願書については、

「罪を憎んで人を憎まず」

と理由を述べている、と担当者は語った。

さらに担当者は、

「嘆願書を出した人たちは飲酒運転が罪として軽いとは決して思ってはおらず、中堅職員が失職してしまうのはしのびなく、そして必要だと思っての行動です」

と説明した。町の責任者がこぞって失職させまいと行動しているが、この職員はどれほど人望があり、人気の人物なのか、とJ-CASTニュースは質問したが、担当者は、

「う、うぅ〜ん」

と唸るだけだった。

17年8月23日に論告求刑があり、検察側は懲役8月を求刑した。結審は9月12日の予定で、嘆願書はどのような効力を及ぼすことになるのだろうか。