“ネクスト・ムバッペ”を探せ「17-18リーガ編」

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ともに18歳で1億ユーロ超えの値札がついているムバッペやドンナルンマの成功は、U-20の価値を再認識させた。今日のサッカー界で最も資産価値が高い選手は「トップレベルの経験を積んでいる10代」だ。若ければ若いほど大きなお金が動く。早期のトップチームデビューのトレンドは今後ますます加速していくはずだ。ここでは“ネクスト・ムバッペ”となり得るU-20の有望株をリーグごとに紹介。未来のスターを、いち早くチェックしよう。

文 工藤 拓

7歳からのバレンシアニスタが低迷する名門に差す一筋の光

Carlos SOLER
カルロス・ソレール
1997.1.2(20歳)183cm/72kg SPAIN
バレンシア

 2シーズン続けて不毛な1年を過ごした昨季のバレンシアにおいて、唯一明るいニュースとなったのがカルロス・ソレールの台頭だ。トップチームデビューは昨年12月10日、プランデッリ指揮下の第15節ソシエダ戦。ラスト12分間のプレーで好印象を残すと、ボロに監督が代わった年明け早々に定位置を勝ち取り、1月19日にはトップチーム契約を結ぶに至った。以降は2日後のビジャレアルとのダービーで初ゴールをマークすると、第30節セルタ戦では技ありのループシュートで決勝点を決めるなど目覚ましい活躍を見せ、攻撃の中心に急成長。5月16日には2020年までだった契約をさらに1年延長し、違約金は1月に設定した3000万ユーロ(約38億円)から8000万ユーロ(約100億円)に増額された。推進力のあるドリブルで長い距離を持ち運び、チャンスの際はゴール前に走りこんでフィニッシュに絡む。風貌も含めたそのプレースタイルは、昨年夏バルセロナに引き抜かれたアンドレ・ゴメスとよく似ている。だが2シーズンでクラブを去ったポルトガル代表MFとは違い、ソレールは7歳からバレンシア一筋でプレーしてきた生粋のバレンシアニスタ。経営陣が迷走を繰り返し、選手も監督も半年ごとに入れ替わる混迷期を過ごしてきたクラブは、気難しい地元ファンが惜しみなく愛情を注ぐカンテラーノをピッチ内外で支柱に据えていく意向を示している。迎える新シーズン。20歳の若者はバレンシアニスタの期待を一身に背負い、クラブ再建の礎となることが求められている。

不安はピッチ外だけ?“禁断の移籍”決めた超攻撃的SB

THEO Hernández
テオ・エルナンデス
1997.10.6(19歳)184cm/76kg FRANCE
アトレティコ・マドリー→レアル・マドリー

 兄リュカとともにアトレティコ・マドリーの下部組織で育ち、父親もアトレティコでのプレー経験がある彼が19歳の若さで、それもライバルであるレアル・マドリーへの移籍を決断した理由は本人にしかわからない。だが、かつてアグエロの獲得をも断念したRマドリーが、お互いの選手を引き抜かないというアトレティコとの友好協定を破った上、違約金に600万ユーロをプラスした3000万ユーロ(約38億円)を払ってまで彼を獲得した理由は、単純にそれだけの価値がある選手だからである。

 強靭な脚力を生かして縦へ縦へと突き進み、鋭く正確なクロスで相手ゴールを陥れる。さらには強烈なミドルシュート、そしてバルセロナとのコパ・デルレイ決勝で決めたような鮮やかな直接FKという飛び道具まで兼ね備える。1部昇格1年目から大躍進を遂げた昨季のアラベスで才能を開花させた超攻撃的左SBは、やはり若くしてRマドリーに引き抜かれた世界最高の左SB、マルセロの後継者としてこの上ない逸材だと言える。

 懸念材料はプライベートのやんちゃぶりだ。飛躍のシーズンを終えてほどなく、彼はU-21フランス代表の招集を無断でさぼり、マルベージャのビーチに繰り出したことが問題視された。さらにはテレビタレントの女性から性的暴行の容疑で訴えられるなど、少々ハメを外し過ぎている。遊びたい盛りの19歳とはいえ、せっかくの才能をつまらないことで台なしにするようなことは避けてほしいものだ。

ピッチ外のバスクダービー勃発!? 宿敵すら魅了する高速ドリブラー

Mikel OYARZABAL
ミケル・オヤルサバル
1997.4.21(20歳)180cm/77kg SPAIN
ソシエダ

 18歳でトップチームデビューを果たし、出場22試合で6ゴール1アシストを記録した15-16シーズンに比べれば、与えたインパクトは小さかったかもしれない。だが正式にトップチームの一員となってフルシーズンを戦い、リーガの全38試合に出場(うち30試合で先発)して目指すEL出場権獲得に貢献した昨季のオヤルサバルは、2ゴール7アシストという数字以上に重要な役割を担ってきた。

 子供の頃は同じ左利きのダビド・シルバに憧れ、ソシエダ加入後はチーム一の技巧派シャビ・プリエトを模範としてきたという。なるほどデビュー当初はスピードと機動力を生かしたドリブル突破ばかりが際立ったが、昨季はよりシンプルに周囲を生かしながら、連係プレーでの崩しにその才能を発揮するようになってきた。とりわけベラとのコンビネーションは抜群で、2人がトップスピードに乗った状態で仕掛ける高速ワンツーはわかっていても止められない。

 早くも宿敵アスレティック・ビルバオが獲得に乗り出したことで、クラブは昨夏に2022年まで契約を延長。違約金を5000万ユーロ(約63億円)に設定するとともに、アスレティックの場合は6000万ユーロ(約75億円)に増額する「アンチ・アスレティック契約」も結んだ。当の本人はトップチーム昇格後も大学での学業を継続しながら、地に足をつけて地元クラブでのプレーに専念している。“ラ・レアル”とオヤルサバルの幸せな関係はこの先も長く続いていくことになりそうだ。

U-20の新世代タレントをリーグごとに紹介!

8月22日(火)公開: 屮廛譽潺▲蝓璽以圈
8月23日(水)公開:◆屮札螢A編」
8月24日(木)公開:「リーガ編」 「特別編:ダニ・セバージョス」
8月25日(金)公開:ぁ屮屮鵐妊好蝓璽編」

Photos: Getty Images