画像提供:マイナビニュース

写真拡大

本来なら通貨は国家などが価値を保証し、経済活動の根幹に位置する存在である。だが、最近は価値を保証する存在がいない「仮想通貨」なるものが世間を騒がすようになった。チケットなどの物品販売に利用され、その価値も約46万円(2017年8月下旬現在)まで急上昇した「bitcoin(ビットコイン)」が代表格ながらも、仮想通貨自体の歴史は古い。

仮想通貨については、1995年10月の米国上院議会「THE FUTURE OF MONEY」で触れている。我々の耳に入るようになったのは、電子マネーやソーシャルゲームといった仮想空間で金品のやり取りが盛んになった、ここ10年程度の話だ。ちょうどビットコインの生みの親とされるサトシ・ナカモト氏の論文も2009年5月に発表している。

ビットコイン自体はP2P(ピア・ツー・ピア)型のネットワークで運用し、非中央集権的に各PCがサーバーとクライアントを兼ねて、ユーザー間でトランザクション(取り引き)を行う仕組みだ。このトランザクション処理はユーザーに対して報酬という形で支払われる。これがマイニング(採掘)と呼ばれ、ユーザーの中には複数のGPUボードを挿して演算処理を高めたビットコイン用PCを用意する者もいた。

2014年2月にはビットコインの大手取引所だったマウントゴックスが破産を宣告し、世間を騒がせた。そのため国内では不信感を持たれる仮想通貨だが、海外では自国通貨と共にビットコインによる支払いを受け付ける企業や店舗も出始めている。日本では2016年4月にBCCC(ブロックチェーン推進協会)やJBA(日本ブロックチェーン協会)といった団体が生まれ、同年5月には「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」=通称、改正資金決済法もしくは仮想通貨法を設立し、2017年4月から施行の運びとなった。

これらの動きを踏まえて金融庁も、ビットコインなど仮想通貨を扱う取引所が、利用者保護を行っているか審査に乗り出している。だが、2017年8月にはビットコインからBitcoin Cash(ビットコインキャッシュ)がスピンアウトするなど、通貨が本来持つべき信頼に至る様子はない。さらに今回の分裂に対しては、金融市場の断片化につながり、利用者の不信感を新たに積み重ねてしまう。

ただし、仮想通貨は流通や製造といったビジネスの現場において、一般通貨が持ち得ない利点を多く備えている。技術革新が目の前で従来の商習慣を一変させたように、仮想通貨が世界を変える可能性は高い。本稿執筆時点では未成熟な仮想通貨だが、単に目をつぶるのではなく、本質を見据える視点が必要だろう。

阿久津良和(Cactus)