日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督が立って招集リストを発表するいつものスタイルから、着席しての質疑応答へ切り替わると、挙手したメディアの中で真っ先に司会者の指名を受けたのは元日本代表DFの秋田豊氏だった。

 98年フランスW杯と02年日韓W杯を経験している秋田氏は、センターバックとして招集されたDF吉田麻也、DF昌子源、DF植田直通、DF三浦弦太のうち植田と三浦の2人に国際Aマッチ出場歴がないことに触れ、「吉田と昌子のどちらかがケガをした場合、代表戦で経験のない選手を途中から出すのは難しいのではないか」と鋭い質問を投げかけた。指揮官に敬意を表すように、イスから立ち上がっての質問だった。

 するとハリルホジッチ監督は「すでにケガ人がたくさんいるが、秋田さんが2人増やしてしまいましたね」と、まずは柔らかい笑みを浮かべて会見場を和ませたが、すぐに「それは非常に悲観的な見方だと思う」と続けた。

「(秋田氏が)元選手であることも存じ上げているので、日本の選手のメンタリティーもよく知っていると思う」と前置きしたうえで、「日本では若手を信頼して使うことが少し欠けているかもしれない。それは私にはあまり理解できないことだ。そういった状況があると無意識にプラスアルファのプレッシャーを与えることになる」と持論を展開。「私は17歳であっても18歳であっても、出場に値するならば使う。より経験のある選手が望ましいかもしれないが、どこかのタイミングで経験を積み始めることも必要だ」と言葉に力を込めた。

 98年W杯時の秋田氏は鹿島の中心選手として活躍していた。日本代表ではアジア予選の途中からレギュラーをつかみ、日本のW杯初出場に貢献。自国開催で予選のなかった02年W杯前は、フィリップ・トルシエ監督の下で出場した国際Aマッチが99年9月8日のイラン戦が最後という状況だったが、春先に守備の崩壊が目立っていた“フラット3”立て直しのキーマンとして抜擢された。この選出はビッグサプライズだった。

 また、現役引退後は京都と町田で監督も務めている。まさに、日本人DFのあらゆる状況でのメンタルを知り尽くしている人物。リスク管理の観点から“不安”を指摘した形だったが、ハリルホジッチ監督にとって年齢は不問だった。

「欧州では18歳で代表デビューする選手がいる。フランスの(ウスマン・)デンベレ、(キリアン・)ムバッペがそうだ。日本には常に年配を尊重する伝統があることも知っているが、私は若い選手にも自信を与えようと思い、その時点でベストと思える選手を選ぶ考え方をしている」と強調。ハリルホジッチ監督も秋田氏に対してリスペクトを示すかのように丁寧に質問に答え、4選手に命運を託す覚悟を示した。

(取材・文 矢内由美子)


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