浦和の武藤が矜持を示した川崎戦アウェー弾 「無駄になっても走り続けて…」

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連戦の疲労を理由に武藤は川崎戦ベンチスタート 後半から出場「2倍走ってやろうと」

 浦和レッズは日本勢対決となった23日のAFCチャンピオンズリーグ(AFC)準々決勝第1戦で川崎フロンターレに1-3の完敗を喫したが、2戦トータルで意味を持つアウェーゴールを奪ったのがFW武藤雄樹だった。

 武藤は試合前日の記者会見にチームの選手代表として出席する予定だったが、急きょFW李忠成へと変更になり、試合当時もスタメンに武藤の名前はなかった。チームが3ボランチを採用したこともあるが、試合後に堀孝史監督は武藤について「連戦での疲労を抱えていて、後半の状況によって出ることで力を発揮してもらう狙いがあった。90分のプレーは難しいという判断があった」と意図を語っている。

 武藤自身は「僕は選手として全部の試合にスタートから出たいし、疲労は溜まっていないと言いたいですけど、監督やメディカルチームの判断で今日は外すと言われました」と、その舞台裏を明かした。だからこそ、1点ビハインドのハーフタイムに投入されることが決まると奮起した。

「与えられたチャンスで結果を出したかった。前半にみんながボールを取れずに披露していたので、2倍走ってやろうと思った」

7月1日広島戦以来のゴール「きっかけに」

 武藤を投入したものの浦和はリードを2点に広げられてしまった。しかし、出場からとにかくマイボールになると相手の最終ラインと前後に駆け引きし、守備でも自身の役割を果たすために走り続けた武藤は、浦和にとって逆転への足掛かりとなる一撃を決める。後半31分、MF青木拓矢が背後のスペースに出したボールに抜け出すと、左足で冷静にGKとの1対1を制した。

「後半から入ったので裏を狙う動きを繰り返そうと思っていたし、青木が良いボールを出してくれた。自分にとっては、一つの良いキッカケになったと思う」

 武藤のゴールは、7月1日のサンフレッチェ広島戦以来。ゴールという結果は久しぶりのものになったが、この日のゴール前の間にも背後に抜け出したところでボールが来ない場面は少なくなかった。それでも味方に大きな不満を訴えてプレーを止めることはなく、何度となくその動きを繰り返した。そして、武藤はその姿勢についてこう説明している。

「何度も、無駄になっても走り続けて、10回に1回くらいGKと1対1になって決められるならそれでいいんです」

リーグ戦とは異なる1ゴールの重み

 その待ちに待った1回はこの日に訪れた。確かにチームは2点差の敗戦となったが、武藤の1点はアウェーゴールだ。通常のリーグ戦とは重みが違うものになる。仮に第2戦で浦和が2-0の勝利を収めれば、武藤の1点が浦和に大逆転をもたらす貴重な一撃としてクローズアップされるだろう。

「このACLは2試合を通しての結果なので、このアウェーゴールがポイントになると前向きに捉えたい」

浦和はラウンド16の済州ユナイテッド(韓国)戦でも2点差をひっくり返したが、その時は第1戦の0-2からの逆転だった。それに比べれば、状況は多少なりとも良いと表現することもできる。

 武藤が自らの矜持を示して決めた一撃は、浦和にとっては2007年以来のアジア制覇へ希望の光になった。第2戦は累積警告により出場停止になるストライカーは、自らの残したゴールが準決勝進出につながることを信じてその時を待つ。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images