洗濯用洗浄剤スメハラが深刻(depositphotos.com)

写真拡大

 タレントのIMALUさんが一時、自身がモテなさすぎる理由を「体が臭いのかな?」と真剣に悩んだという告白をTV番組でしていた。

 いかにも今日的な「気の病」をうかがわせる秘話だが、もっと現代的で現実的な健康被害用語の「香害」を知らない層が6割以上もいるという実態が明らかになった。

 これは、シャボン玉石けん株式会社(本社・北九州市)が、20〜60代の成人男女598人を対象に実施した「香りに関する意識調査」の結果から読み取れた割合だ。WEBによる調査期間は、2017年7月15日〜同20日まで。

 この時期を選んだ背景には、国民生活センター宛てに「洗濯用洗浄剤の匂い」に関しての相談件数が急増するタイミングを見計らってという狙いがあった。

 「香害」とは、人工的な香料による健康被害をさす近年の造語で、昔からの体臭問題やたばこ臭被害は対象外である。


被害者転じて加害者の皮肉


 この調査結果では61%が「知らない」と回答している「香害」問題。さらに踏み込んで問うた質問についてはそれぞれ、下記のような数値が導かれた。

●質問 他人のニオイ(香水や柔軟剤、シャンプーなど)で不快に感じたことはありますか?
●回答 ある:79%/ない:21%

●質問 人工的な香りをかいで、頭痛・めまい・吐き気などの体調不良を起こしたことがありますか?
●回答 ある:51%/ない:49%

 かい摘んでいえば、「香害」は初耳という6割強の層も含めて、現代社会においては他人のふりまく人工臭を「不快」に思う人々が約8割もおり、半数以上はより具体的な「体調不良」も体験しているわけだ。

 しかし、「他人」という鏡に自分を映してみれば「まんま、わが身」の問題でもあるのが今の時代で、別の設問に関する回答からもそんな世相が垣間見える。

●質問 香りつきのもので日常的に使用しているものは何ですか?(複数回答)
●回答 柔軟剤や洗剤(衣類):367人/シャンプー(髪):306人/制汗剤:179人

 これが香りの<愛用品BEST3>。次点が「特にない」の121人、そして自己満足系で敬遠されがちな香水が92人、「その他」が36人と続く。

 いずれにせよ、自ら「香り」をまとって街を闊歩している人々が、約8割を占めている計算になる。


化学物質過敏症が急増中

●質問 (で)選択したものを使用する目的はなんですか? 当てはまる箇所をすべてお選びください(複数回答) 
●回答 衣類や防臭・消臭効果をもたせるため:270人/嫌なニオイを抑えるため:270人/自分で香りを楽しみたいから:175人/他人にいい香りと思ってほしいから:121人/その他:36人

 本サイトでは過去に、逃げ場のない通勤列車内や職場同僚によるスメハラ(スメルハラスメント)問題を、そして公共空間における香り演出の是非について触れてきた。

 だが、国民生活センターへ寄せられた最近の相談内容例をみると、とりわけ「洗濯用洗浄剤の匂い」に関する被害ぶりは深刻さを増している。

■昨日夕方に柔軟剤を使用して洗濯物を部屋干し後、夜から朝まで吐き気を感じた。
■南側の隣家から柔軟剤の臭いが漂いイライラ感、頭痛、吐き気がする。
■職場の同僚が柔軟剤をつけていることで気分が悪くなる。
■新発売の柔軟剤を試したら、目がひどくチカチカした。かなり少なめに使ったのにひどかった。

 上から20代・30代・40代・50代の相談例を列挙してみたが、これらは性別も年齢も職業も関係なく、自他の要因も問わず、現代人を見舞う「香害」だとわかる。

 また、さまざまな種類の微量化学物質に反応して苦しむ「化学物質過敏症」というコトバもある。やはり症状はめまい・吐き気・頭痛などと多岐にわたり、個人差を有する。

 「しかし、『香害』や『化学物質過敏症』というコトバの認知はまだまだ低く、事態の深刻性が世間に浸透していないことが問題です」

 そう語るのは、こうした問い合わせが数多寄せられているNPO法人・化学物質過敏症支援センターの事務局長、広田しのぶさんだ。

 「香料などに使用されている化学物質は、長期間にわたって体内に蓄積されてしまう。いま症状が出ていない方でも今後、突然発症する危険性があります」

 トレンドな香りに含まれるこれらの見えない大敵は、花粉症同様、マスク使用などでシャットアウトするのも難儀らしい。ゆえに「癒される」という気分先行よりも、香り付き商品の使用自体の「見直しが必要なのでは」(広田さん)なかろうか。
(文=編集部)