実の子に面会拒否、弁護士はどう見る?

写真拡大

 入院した人を見舞う際、必ず確認しなくてはいけないのが面会できるかどうかである。入院中の父に会いたいという子供の面会を病院が拒否することに問題はないのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 子供のころに別れた父が危篤だと親戚から知らされ、病院に出向き、病室の番号を教えてもらおうとしたところ、受付で許可された面会者にしか教えられないと拒否されました。「実の子供です」と説明しても納得してもらえず、しまいには警備員に追い出されました。このような病院の対応は法に触れませんか。

【回答】
 病院が「許可された面会者しか教えられない」という姿勢をとったこと自体は、あながち非難できないと思います。病室を教えないということは、面会を認めないことですが、病院では入院の申し込み時点で、面会希望者への対応に関し、制限の有無を質問することがあります。

 あなたの場合も、入院中のお父さんや入院の世話をしている近親者が特定の人以外の面会を拒否するよう、病院に指示している可能性があります。その場合は、面会者の制限が入院契約の付随的な条件になっているのですから、病院があなたに病室を教えなかったのは当然です。

 そうした合意がなくても、病院が施設の管理者として一定の入場を規制することは可能です。通常、面会者は病室も知っていることが多いでしょう。わからなくても、患者や近親者に電話をかけて容易に確認できます。なのに病室をわからない人物に立ち入らせることは、病院の静謐や患者のプライバシーの侵害になる可能性があると、病院側が懸念することも不合理ではありません。

 入院患者の病室番号は、個人情報です。病院は個人情報保護法の定める個人情報取扱事業者ですが、この事業者は取得した個人情報を、本人の同意なく、第三者に提供することは原則としてできません。

 同意がない第三者提供が許されるのは、法令に基づく場合や人の生命身体や財産の保護のために必要があって、本人の同意が得られない場合など一定の場合に限定されています。

 あなたは、面会意思と自分の続柄を患者に伝えて病室を教える許可を受けるよう、要請するべきでした。あなたが穏やかに申し入れたのに、病院が聞き入れなかったとすれば、残念な対応であったといえますが、病院には取り次ぐ法的な義務はないのです。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2017年9月1日号