ウスター(手前)の他に、とんかつ(中)や中濃(奥)もあり(500ml・各378円)/イカリソース

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食卓に洋食文化をもたらし、“関西の味”として根付いたウスターソースの草分け的存在の「イカリ」ウスターソース。人気の秘密と知られざる製造工程をご紹介!<※情報は関西ウォーカー(2017年8月22日発売号)より>

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「イカリソース ウスター」(手前・500ml・378円)。10種の野菜と果実、15種の香辛料を使った、伝統のスパイシーな風味と濃密なコクは、カレーの隠し味やフライにぴったり。2017年8月21日のリニューアルで、より贅沢な味わいに生まれ変わった。「ウスター」のほかに、「とんかつ(中)」や「中濃(奥)」もあり(500ml・各378円)。

■ 現存最古の歴史を持つ「イカリ」ウスターソース

ソース味か、醤油味か?今や、調味料の選択肢として真っ先に名前があがるほどに定着しているソース。大小さまざまなブランドのなかで、現存最古の歴史を持つのが、「イカリ」ウスターソースだ。

日清戦争のさなか、創業者が中国で英国製ウスターソースに出合い、その旨さにほれ込んだのが同社のソース作りの始まり。英国人コックのもと、飽くなき試行錯誤のすえに、イカリ印ソースとして世に出たのが1896(明治29)年のこと。ソースの存在自体がほとんど未知の時代。当初は原料に漢方薬を配合していたことから薬局に置かれたり、洋風醤油として宣伝されたりしながら、新たな味覚をもたらした洋食文化の先駆けとなった。

■ 知られざる製造工程を紹介!

創業時と変わらぬ製法を守っているウスターソースは、素材の旨味をじっくりと凝縮したスパイシーかつ深みのある風味で、西日本を中心に浸透。大阪名物の串カツ、豚まん、カレーにと、その万能ぶりで、長きにわたり愛される関西人の“ソウルソース”だ。

<1>原料をきっちり計量して配合する。トマト、タマネギ、リンゴなどの野菜や果実、香辛料、調味料をそれぞれ計量し、ポンプで蒸煮釜へ。原料は投入順まで決められている。

<2>厳しい検査で品質管理を徹底。蒸煮釜で原料を撹拌しながら約4時間煮込み、タンクで2、3日熟成。ソースの濾過前後に品質検査をクリアしたものだけが、充填室へ。

<3>充填は外気との接触を最小限に!容器を洗浄し、ソースを充填。充填室内は22〜23℃に保たれ、唯一ソースが外気に触れる充填機は周りを囲み、内ぶたを閉めて室外へ。

<4>何重もの検品を経て全国に出荷。容器のキャップを閉めて、ラベルを巻き、賞味期限を印字。金属探知機を経て段ボールに梱包する。重量チェック後、出荷される。

■ イカリソースヒットの裏側

現存のソースブランドとしては日本最古の「121年」の歴史を誇る“元祖ウスターソース”。また開発時の試行回数「194回」は、パイオニアの飽くなきチャレンジ精神を物語っている。

1つの釜で1つのソースを仕上げる丁寧な仕事と、昔ながらの製法を今も変わらず受け継いでいる。

充填室は温度管理を徹底し、さらに充填機全体を囲み、つねに空気清浄して、ソースの変質を防ぐ。

定番のウスター、とんかつ、中濃ソースを2017年8月にリニューアル。「ウスターは原料や香辛料の種類を増やし、伝統のスパイシーな風味を生かした、芳醇な味わいに!」と、西宮工場長の成冨正幸さん。

■イカリソース株式会社<住所:大阪市福島区福島3-14-24(本社) 電話:06-6453-1480 創業:1896年 社長:石垣幸俊 事業内容:ソース類、ドレッシングなど調味料の製造・販売 従業員数:96名(2017年現在)>【関西ウォーカー編集部】