この研究が成功すれば、服薬が容易な吸入タイプの薬剤が多数開発できると期待できる。(画像:いらすとや)

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 プリンタメーカーとして知られるリコーが、同社のインクジェット技術を応用した医療機器の開発に乗り出す。薬剤を微細な均一の粒子にし、呼吸器内に届けられるようにする。静岡県立大学と共同で、数年以内の実用化を目指すという。

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 プリンタといっても様々な種類のものがあるが、いくつかのタイプのプリンタは、インクを超微細化し、小さな複数の穴から噴射する形で印刷を行う。一例としては、エプソンが開発したピエゾ方式と呼ばれるプリンター技術などもその一種だ。インクジェットによる超微細化技術は、リコーやエプソンに限らず、様々な企業が技術開発にしのぎを削っている。

 この超微細化技術を、医療に応用できないかと考えた人々がいた。静岡県立大学は、今年5月の日本薬剤学会の年会において「インクジェット技術を使った薬剤の経口吸収性の向上」について発表し、最優秀発表者賞を受賞している。

 リコーは静岡県内に拠点を持っており、また、事業の多角化のため、医療分野への参入を企図している。この研究は静岡県の健康医療産業振興をはかる「ファルマバレープロジェクト」の一環に位置付けられる。

 インクジェットを応用すれば、直径5マイクロ(マイクロ波は100万分の1)メートルの均一な粒子を生成できる。既存の薬剤であっても、これまで注射という形でしか投与できなかったものが、吸入タイプでの処方が可能になりうるという。

 この方法論の優れたところは、新しい薬剤を一から開発するわけではないため、効果や副作用を調査する治験などにかかる期間が短くて済むということである。おおむね、半分程度に短縮できるとのことだ。

 この技術が実用化すれば、たとえば骨粗鬆症の治療など、現状では投薬のたびに通院しなければならないものが、自宅で簡単に服薬できるようになると考えられる。