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美容医療では波長や照射時間が異なる各種レーザー治療器が使われている。2017年 7月29日、大阪市で開かれた日本美容皮膚科学会では、最新型である「ピコレーザー」がシンポジウムで取り上げられた。ピコ (ピコ秒、ピコセコンド) レーザーとはピコ秒( 1兆分の 1秒) 級の短間隔で発振する。約18年前、刺青 (いれずみ) 治療目的で開発され、数社から発売されている。 3人の講演では、いずれも有用との評価だった。

米国製3社のピコレーザーを用いた医療例を発表

東京女子医大成人医学センターの根岸圭・講師(形成外科)は米国CU社製品を使い、効果と安全性を検討した。日本人女性22人の日光性色素斑44病変に 2種類の波長のピコ・ヤグレーザーを照射した。41病変は 1回、 3病変は 2回の照射で75%以上の改善率で、治療後の色素沈着はナノ秒 (10億分の 1秒) レーザーより格段に少なかった。また、治りにくいシミの肝斑 (かんぱん) 10例のうち 7例に有効だった。根岸さんはピコレーザーの使いやすさを強調した。

東京都で開業する宮田成章医師(形成外科)は米国SC社製品の使用経験を報告した。ピコレーザーは実際にはナノレーザーの10分の 1程度の短間隔だが、小さな色素粒子も壊せるので刺青には画期的効果があった。また、薄いシミにも有効だった。

横浜市で開業の奥謙太郎医師(皮膚科)は、米国CY社製品を使って、老人性色素斑などを治療している。症例ごとに照射法を変えて組み合わせ、最適の複合照射で有効性をさらに高めることができた。副作用は少なく、肌の状態も改善できた、という。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

第35回美容皮膚科学会総会・学術大会
シンポジウム2 「『picoレーザー』:色素病変への対応」
※敬称略
座長:
山田 秀和 (近畿大学医学部奈良病院)
中野 俊二 (久留米大学/中野医院)
演者:
根岸 圭 (東京女子医科大学附属成人医学センター)
宮田 成章 (みやた形成外科・皮ふクリニック)
奥 謙太郎 (あざみ野ヒルズスキンクリニック)

医師・専門家が監修「Aging Style」