Rettyグルメニュース

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ライター紹介

飯塚敦

食、カレー全般とアジア料理等の取材執筆、デジタルガジェットの取材執筆等を行う。カレーをテーマとしたライフスタイルブログ「カレーですよ。」が13年目で総記事数約4700、実食カレー記事と実食動画を中心とした食と人にフォーカスする記事を執筆。他「フィガロジャポン」「東京ウォーカー」「Hanako FOR MEN」やカレーのムック等で食、カレー関係記事の執筆。自著に「カレーの本」(笠倉出版社)がある。外食食べ歩きのプロフェッショナルチーム「たべあるキング」所属。 ・公式サイトはこちら・Rettyアカウントはこちら

 

 

カレーラーメンというジャンル。

日本においてカレーというものは曖昧なものだと感じることがある。

王道のカレーライスというものが現代日本人の心の奥底、食体験の根元にあり、そこから派生したカレー味の〇〇、先祖返りのインド人シェフが作る郷土料理としてのインド料理、アジアのあちこちにあるスパイスとハーブを使った煮込みや炒め、日本で進化した西洋料理を根っこに持つ欧風カレー等々。とにかく裾野が広く茫洋としているカレーというもの。

これらの多くはごはんに合わせる、ないしはパンに合わせて食べるものだ。

その中でカレーを麺と合わせるものがブームを乗り越え、定着している。カレーやきそば、カレースパゲッティ、カレーうどん等々。その一翼がカレーラーメン、ないしはスパイスラーメンというジャンルだろう。

専門店はまだ少ないが、カレーラーメンをメニューに入れるラーメン店も見かけるようになった。また、新潟三条、北海道室蘭、苫小牧などに見られるご当地ラーメンとしてのカレーラーメンも人気を集めている。

人気スープカレー店が仕掛ける「スパイスラーメン」

北海道、広島、東京、神奈川に10店舗を擁する札幌発祥のスープカレー店、「路地裏カリィ侍」という店がある。

関東では下北沢店が2014年の春にオープン、3年を経て開店以来人気の店として存在感を増している。

ここのスープカレーは、スープカレーとしては粘度が高く、これは野菜由来のものであろう。魚介出汁が強く香り甘さと辛さが多層的構造になっていると感じる味わいだった。

ごぼうの素揚げがビジュアルに特徴を加えている。甘みが出て食感もよく、これが殊の外美味しいのだ。

その「路地裏カリィ侍」の株式会社ソウルフラワーが、先日7月18日、同じく下北沢に「スパイスラーメン専門店 点と線」をオープンした。「路地裏カリィ侍」の別業態一号店となる。

店は下北沢の賑わいある通りから一本入った少々わかりづらいビルの2階で、立地は少し大変そうだ。が、この味を覚えてもらえれば、という心意気も店のスタッフから伝わってくる。

注文したのは「スペシャルスパイスラーメン(1400円)」。

「スープカレー屋がラーメンを作る」というアプローチは実に興味深い。なぜなら、スープカレーとラーメンの両者には、出汁を引く、スープを仕込むという流れが共通するからだ。よくよく観察すると、スープカレー屋は、その業態から厨房構成までラーメン店に酷似している。

そして、点と線のスパイスラーメンを食べたとき、これは「ジャパニーズカレーラーメン」だと直感した。

スパイスラーメンと聞いて真っ先に思い浮かぶのが西葛西・卍力の「スパイスラー麺」だが、こちらはアジア風の味わいを感じる。それに対し、点と線のスパイスラーメンの根底にあるのはジャパンオリジナルだ。

味のベースに札幌スープカレーの影が見え隠れするからだろうか。もちろんスープカレーをそのままラーメンスープに使えるわけもなく、そこには研究研鑽が注ぎ込まれているのがわかる。

豚骨、鶏、などの肉系、鰹節や昆布などの魚介系と野菜を合わせて炊いてゆくスープにスパイスが入る。本家の「路地裏カリィ侍」よりも濃厚さを感じるそのニュアンスは、どことなく札幌の豚骨味噌ラーメンを感じさせるもので、その同郷のルーツを想像するとロマンを感じる。

スペシャルスパイスラーメンにはチャーシュー、味玉、味付け海苔、素揚げごぼう、ズッキーニ、パプリカ、浅葱、糸唐辛子、ピーナッツなどが入る。

エディブルフラワーの花弁を散らしてあるのがかわいらしい。ナッツは食感と香りがアクセントになって楽しいもの。

スープから顔を覗かせる2塊の厚切りチャーシューはチャーシューというよりも角煮。ぷるぷると柔らかく、幸せ感じる甘じょっぱい醤油味がたまらない。

路地裏カリィ侍のスープカレーでもフィーチャーされる揚げゴボウは、素晴らしいの一言。思うよりバリバリしないほっくりした食感も、引き出された甘み香りも大変な満足感。

これはいい具材。メニューにごぼう増し推奨と書かれているのは納得がいく。

中太であろうか、麺は縮れ麺でこれがなかなか上出来である。スープはちょいと濃いめだが強いカレー感は出しておらず、なるほどきちんとラーメンスープに仕立ててある。

カレーラーメンに思うところは、決して一線を越えてはいけないということ。スープがカレーになってしまってはいけないと考える。

スパイスラーメンは、あくまでカレー風味のラーメンスープでなくては成り立たない。そのラインに上手に落としていると感じる。

そうは思いながらも最後に白メシを少々欲しくなるのがカレーラーメンの醍醐味でもある。これまた楽しみのひとつなのである。

食べきるとスパイスの苦味が最後に残り、これが爽やかで切れ味良い。

クセになるタイプのラーメンだ。そして、この味は多分ここにしかない。唯一無二を持つ店は、強い。

 

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