長野県の養蚕のことを知ってもらおうと、長野市在住の布施一(はじめ)さん(32)が県産シルクを使ったネクタイを企画し、その試作品15種類をツイッター上で公開した。

それも醤油をこぼしても汚れないという特殊な撥水加工をしてあり、その出来栄えに関心が集まっている。布施さんに、Jタウンネットがこれまでの経緯を聞いた。

着物に使われる撥水加工をネクタイに転用


長野県産シルクを使ったネクタイ(以下同じ、写真は布施一さん提供)

黒、白、水色、紺、赤......。布施さんが2017年8月21日にアップした写真には、こんな色鮮やかなネクタイがずらりと並ぶ。どこかしっとりとした味わいがあるようだ。デザインは、京都・西陣織のメーカー「太平織物」から提供を受けており、ストライプや格子状のものもあった。







日本で初めて国産シルクを使った撥水加工のネクタイだといい、京都・パールトーン社が開発した特殊加工が施されている。通常は着物に使われるのをネクタイに転用したそうだ。布施さんは、まずはツイッターを通じ、国産シルクでは異例となる1本1万円で試験的に販売している。

シルクは、製糸業発祥の地として知られる長野県岡谷市にある製糸工場「宮坂製糸所」で作られたものを使う。ここは日本で唯一、手作業による伝統的な製法で作られており、工場は市立岡谷蚕糸博物館に併設されている。

9月には、ホームページを立ち上げて通販を始めたいとしており、製糸所内や地元の友人の店などでも販売したいという。

布施さんのツイートは、5万件ほどもリツイートされるほどの反響を呼んでおり、そのネクタイに期待する声が相次いでいる。

「風合いを落とさずにシルクのよさを生かす」

布施一さんは8月22日、Jタウンネットにそれまでの経緯を話してくれた。


布施一さん

地元の長野で特産物などを利用して起業することを考えていた布施さんは2016年春、飲食店でみそ汁をネクタイにこぼしたことをきっかけに撥水加工を思い付く。そして、その年の6月ごろ、京都の太平織物を訪れ、平井基之社長に相談したところ、パールトーン社のハイグレード加工を紹介された。特殊な溶剤をシルクにしみこませて織り込んでいくことで撥水機能が働くそうだ。

17年2月に入って、クラウドファンディングサイト「Readyfor」を利用して資金を集めることにし、5月までに20人から30万円超が集まった。

布施さんは、その資金を使って、まず中国からの輸入シルクを使ってパールトーン加工を施した西陣織のネクタイ70本を作った。1本の価格は5800円で、出資者にも贈っている。

今度は、長野県産シルクを使ってネクタイ販売を始めるため、9月にもクラウドファンディングを利用しようとReadyforと打ち合わせをしているという。

「中国などと違い、アルカリ性の土壌で育った桑の葉を食べて育った蚕のシルクは、手触りがよくシワになりにくいのが特徴です。撥水加工も、風合いを落とさずにシルクのよさを生かすことができます。将来は、長野県産シルクを使って、ワイシャツや着物などにも挑戦したいと考えています」