専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第119回

 お笑いコンビ、テツandトモの「なんでだろう〜」ではありませんが、そもそも2020年の東京オリンピックは、なんで真夏にやるのでしょう?

 1964年の東京オリンピックを経験している者にとっては、不思議でしょうがありません。当時は、梅雨や暑い夏、秋雨前線が停滞する時期を避けて、「スポーツの秋」ということもあるし、晴天率が一番高い秋の日を調べたら、10月10日だった。じゃあ、開会式はその日程でいきますかといった具合で、五輪の日程(10月10日〜24日)は決まりました。

 前日までは雨でしたが、当日は抜けるような青空で、ブルーインパルスのF-86が国立競技場の上空に五輪マークをスモークでこしらえた瞬間は、超盛り上がりました。当時5歳のキムラ少年は、オリンピックなるものを理解はしていませんでしたが、父親に「これは、一生の思い出になるものだから、よく見ておくように」と言われて、選手の行進もボーッと眺めておりました。

 だから、2020年の東京オリンピックの開会式も、てっきり10月10日になると思っていました。それが、いざふたを開けてみると、7月末から8月上旬に開催って。こんなスケジュール、選手も観客も誰も喜ばないでしょう。

 冷静に過去のオリンピックを振り返ってみると、バルセロナ(1992年)も、アネテ(2004年)も、北京(2008年)も、相当暑かった印象がありますね。その日程ですが、1972年のミュンヘン大会からすでに8月26日〜9月11日開催と、かなり前から夏に行なわれるようになっていました。

 以来、9月以降の秋に開催されたのは、南半球で行なわれたシドニー大会(2000年)を除けばソウル大会(1988年)ぐらい。それ以外はすべて7月から8月という”夏”に開催されています(※南半球となる前回のリオデジャネイロ大会は冬)。

 その理由としては、アメリカのスポーツシーズンとぶつからないように、という措置のようです。クライマックスを迎えるメジャーリーグや、シーズンが開幕するアメリカンフットボールなどの注目ゲームが少ない時期に開催すれば、視聴率のアップが見込め、莫大な放映権料がどこぞの組織に入ってくる、というわけです。 

「はじめに加計ありき」と言われている獣医学部の新設が問題となっていますが、2020年東京オリンピックにおいて「はじめに夏開催ありき」というのが問題視されないのは、何とも不思議でしょうがないです。

 これは、IOC(国際オリンピック委員会)と日本政府が水面下で交渉して、「夏開催で承諾するなら、日本開催で決定するぞ」くらいの裏取引があったのではないかと思っています。あくまでも推測ですが……。

 結局、日本政府としては、日本経済復活の起爆剤にしたいから、どうしても2020年に開催したかった。IOCとしては、夏開催を動かしたくなかった。その思惑というか利害が、単に一致したんだと思いますよ。もちろん、想像ですが……。

 だって、その後はオリンピック候補地に名乗りを挙げる都市が激減、という事実が露呈。その挙句、2024年はパリ、2028年はロサンゼルスと、2大会同時に開催地が事実上決定ってなんやねん。だったら、日本はいつ立候補しても開催できたってことじゃん。

 やっぱり、安倍さん率いる日本政府は、焦って夏開催を無理やり承諾させられたんでしょう。一度国会で、なんで夏開催を決定したのか、証人喚問してほしいですよ……。

 ところで、夏開催の弊害はあるのでしょうか?って、そりゃ、相当あるでしょ。

 地球温暖化が急速に進んでいる昨今、東京は35度以上の猛暑日になる可能性が極めて高いです。日本の夏は湿度が高くて、不快指数も上昇。非常に居心地が悪い暑さと言えます。ゆえに、東京オリンピックではかなりの暑さ対策をやらないといけません。

 気温の上昇についてですが、年間の平均気温だけで見ると、20年前の宮崎と今の東京と一緒だそうです。21世紀末には平均で4.7度上昇して、東京の平均気温は今の屋久島と同じになるとか……って、縄文杉を今のうちに植えておかないと。

 しかも、エアコンや自動車の排気ガスなどで、都会の路面温度は気温の数値以上に高くなるのはご存知のとおり。さらに、夏開催はゲリラ豪雨の可能性も大です。

 ほんと、最初から10月開催にしておけば、余計な心配をしないで済んだものを……。今から、東京オリンピックが本当に開催できるのか、とても危惧しております。

 懸案の暑さ対策としては、ひとつ思うことがあります。東京オリンピックと言いながら、ゴルフは埼玉、ソフトボールは福島、自転車競技は静岡の伊豆、セーリング競技は神奈川、サーフィンは千葉などと、数多くの競技が東京以外で開催されます。だったら、いっそ涼しいエリアにもうひとつ”サテライト会場を作る”というのはどうでしょうか。

 一番望ましいのは、長野県の軽井沢近辺です。新幹線で東京から1時間10分。十分に通える近さですし、標高900mの避暑地は東京に比べたら、だいぶ涼しいでしょう。

 そこに、ゴルフはもちろん、陸上のマラソンや競歩など、時間のかかる屋外競技を移す手はありますよね。特にゴルフは、なんで霞ヶ関カンツリー倶楽部に決まったのか、誰も正しい説明をしていませんから。その決定には非常に怪しいものを感じています。

 結局、霞ヶ関CCは日本を代表するチャンピオンコースで、過去にはカナダカップ(ワールドカップの前身)が開催された(1957年)こともあり、国際試合は霞ヶ関CCで、という意見がゴルフ界の上の人たちの中では根強いようです。

 ただ、そういえばカナダカップを開催した当時、体の大きい外国人選手たちに対抗するために、日本代表の中村寅吉、小野光一ペアには”秘策”がありました。それは、霞ヶ関CCの高麗グリーンでやれば、それに慣れていない外国選手が戸惑うだろう、というものでした。案の定、その目論見が当たって欧米チームがグリーンに手こずったこともあり、日本が個人と団体で優勝という快挙を成し遂げるのです。

 そう考えると、2020年の霞ヶ関CCでの開催も「カナダカップの再現か」と言われるほど、日本人有利な状況にあります。

 というのも、気温はおよそ35度。これほどの暑さだと、グリーン上は鏡面効果で40度近くになり、まともなパットなどできないからです。早くグリーン上から逃れたいと、英国や北欧の選手たちは思うんじゃないですか。こんな蒸し暑い中、「ゴルフをやるなんてクレージーだ」と言って、クラブを放り投げる選手が出てくるかもしれません。



日本人は「暑さに強い」と言っても、限界はあると思いますが...

 一方、日本の選手は暑さには滅法強いです。そういう意味では、沖縄県出身の宮里優作選手をぜひエントリーさせたいです。あとは、世界トップクラスの松山英樹選手の活躍があれば、メダルが取れるかもしれません。

 なぁ〜んだ、こんな奥深い戦略があったとはつゆ知らず、「会場を移せ!」などと言って、ごめんあそばせ。

 じゃあ、霞ヶ関の”高温グリーン”で、暑さに弱い欧米人をやっつけましょう!……って、こんな結論でいいのだろうか?

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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