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 前回はデジタライゼーションの本質的な目的と筆者が考える「事業のサービス化実装」の概念や必要性について紹介しました。今回は具体的なサービス化の事例や、その背景にあるマーケティング4Pの変革にも目を向けることで、“どう取り組めばよいのか”について解説していきます。

■「モノからコトへ」サービス化事例を4P目線で考える

 “商品のサービス化”の例でよく取り上げられるのが、NIKEのフューエル(FUEL)やネスレのコーヒーマシンです。

 どちらもスポーツシューズやコーヒーといった“モノ”の販売から、“快適なランニングそのもの”や、“コーヒーをいつでもどこでも楽しむ時間“など、マーケティングの目指すゴールをお客様体験の革新と設定し、それを実現するためのデバイスや情報を開発し提供しています。つまり“モノ”だけでは実現できない“コト”=体験を、“モノ”と“サービス”をセットにすることで実現しているのです。

 これらのサービスは、ビジネスモデルまでが新しく刷新されており、これまでの「商品の単品・都度販売」から、「会員としてサービスを申し込んでもらい、月単位・年単位などの利用期間と使用範囲に応じた料金設定で販売」する、いわゆるサブスクリプションモデルが導入されています。

 この例を、4P目線で見てみると、Productが「モノ」から「使い続けることが前提となる“サービス”」へとカタチを変えると、Priceの考え方も当たり前のことですが連動して、“都度販売”から“継続申し込み型の課金システム”へと変わらざるを得ない、ということを示しています。つまり、“商品のサービス化”=Product×Priceの変革、つまりサブスクリプションモデルへの移行、という一つの解が見えてきます。

 もう一つ、前回ご紹介した“デジタライゼーションによる事業のサービス化実装”について具体的な例を挙げましょう。

 その一つが、コカコーラのCoke ONです。アプリをダウンロードすると、コカコーラの自動販売機が位置情報で検索でき、さらに自動販売機と購買情報を連携させて購入すると15本買う毎に1本が無料となる、という、自動販売機という販売チャネルとユーザーをアプリで直接つなげるサービスです。

 ユーザー側のメリットとしては買い物がおトクで便利なものになり、企業側のそれとしてはこれまではわからなかった“誰がどこの自動販売機で何をいつ買ったか”、がわかるようになるという、Win-Winな構造です。アプリでは従来オウンドメディアで提供されていたキャンペーン情報なども提供されていますが、Coke ONはもう1歩踏み込み、ユーザーにより機能的な便益=金銭的なバリューと購買しやすい便利さ、楽しさを提供している、という点でオウンド“メディア”からオウンド“サービス”へと進化したものであると考えられます(参考記事,MarkeZine)。これも4P視点で考えてみると、デジタル化されたチャネル=Placeが起点となってPromotion(この場合は自動販売機の位置情報提供やクーポン発行)がOne to Oneでリアルタイムに行われるという点で、PlaceとPromotionの密接な関係を示しています。

 その他、LINEのチャットボットでの顧客の問い合わせ対応など、以前のようにコールセンターだけではなく、ソーシャルチャネルが顧客ケアに活用されることも珍しくなくなってきました。今後もチャネルのデジタル化が進むことでオウンドサービス化もさらに進むのではと、筆者は考えます。

安田 裕美子[著]