(写真=韓国映画『トイレット』ポスター)

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昨年5月に韓国で発生した「江南通り魔事件」が、早くも映画化されるということで波紋を呼んでいる。

ソウル江南駅近くの男女共用トイレで20代の女性が面識のない男性に殺害されたこの事件は、捕まった犯人が「女性を狙った」との発言をしたことから「女性嫌悪による悲劇」などと言われ、韓国社会に衝撃を与えた。

女性から屈辱を受けた男の復讐劇

この事件をきっかけに、韓国では女性の人権尊重や男女平等を主張する“フェミニズム”意識が高まり、今年の4月に懲役30年を言い渡された犯人のキム氏(35歳)に対しては未だに無期懲役や死刑を望む声も多い。

そんな中、事件をモチーフにした映画が8月に公開されるという知らせが飛び込み、ネット民が怒りに震えているのだ。

映画のタイトルは『トイレット』。キャッチコピーは「すべては愚発的で即興的な怒りのせいだった」で、好意を示した女性たちから屈辱を受けた1人の男が、復讐を企てるストーリーになっているらしい。日本にも荻上直子監督による同名の映画が存在するが、内容は天と地の差だ。

「見なくてもクソ映画だって分かる」

この映画の企画意図について、制作社は「江南通り魔事件をモチーフにし、常識はずれの思いつき犯罪に警鐘を鳴らすために」と説明している。

しかし、ネット民からは「キャッチコピーがまるで犯人を擁護する感じだけど」「たった1年とちょっとしか経ってないのに…酷すぎる」「犠牲者とその家族のことは微塵も考えていないな」「刺激的な事件をモチーフにしたノイズマーケティングだ」「見なくてもクソ映画だって分かる」といった非難の声が殺到。中には「映画の公開を中断しろ」という声も非常に多く、映画の上映禁止を求める署名運動まで行われている状況だ。

そういったネット民の反応を受け、監督のイ・サンフン氏は自らSNSに「誤解だ」と説明。自分も江南通り魔事件に鬱憤し、犯人を指弾したひとりだったし、何よりも映画は事件とは無関係だという旨をアピールしている。

制作社はまた、映画に対する客観的な評価が至急だと判断し、一般公開に先駆けてメディアの関係者に本編を公開したという。

ただ、メディアからも「事件と映画の関連性を除いても、加害者に感情移入するようなストーリーと演出は十分批判されるべき部分だ」など書かれていることを見る限り、興行成績はあまり期待できそうにない。

それにしても、公開前にしてここまで非難が絶えない映画も珍しい気がするのだが、はたしてどうなるか。

(参考記事:女性が女性を叩くケースも…「江南通り魔事件」から1年で深刻化する韓国の“女性嫌悪”

(文=S-KOREA編集部)