北朝鮮の水産事業所の基地長(所長)が、骨董品を密輸しようとして中国で摘発され、国外追放になっていたことがわかった。

中国の情報筋によると、逮捕・追放されたのはキム・グァンウォン氏ら2人だ。

3人は6月19日、遼寧省丹東市郊外の安民港で、事前に骨董品の密輸情報を察知していた公安当局に逮捕された。この港は、小川を挟んで北朝鮮領の黄金坪(ファングムピョン)と隣接しており、密輸には都合のいい場所だ。

逮捕された3人は、現場近くの派出所で3日間取り調べを受けた後、北朝鮮・新義州(シニジュ)の保衛局(秘密警察)に身柄を引き渡された。しかし政治犯ではなく経済犯であり、保衛局にコネがあったこともあって、21日または22日に釈放された。

トンジュ(金主、新興富裕層)と思われるキム・グァンウォン氏は、4〜5年前に鴨緑江の河口付近に小さな港を建設し、責任者に就任した。人民武力省、偵察総局に一定額の外貨や品物を上納することを条件に、それらの名義を借りて漁業や密輸を行ってきた。

以前は水産事業所所属の漁船が獲った海産物を、中朝共同水域で中国漁船に密売する手口で外貨を得ていた。

ところが、中国当局による密輸取り締まりの強化を受け、懐事情が苦しくなったため、窮余の策として骨董品の密輸にも手を出したものと思われる。人民武力相および偵察総局との取り決めでは、売り上げの額に関係なく、一定額の上納が求められることになっているからだ。

情報筋によると、鴨緑江河口付近における中国当局の取り締まりの強化で、大きな船の運航はできなくなり、今では小さな船がわずかに行き交うだけだ。摘発されれば2万元(約33万円)もの罰金を取られる。

中朝関係の悪化を受けて北朝鮮当局も、5月から漁船に対する取り締まりを強化し、漁師の生活は苦しくなるばかりだという。