サカナクション/Perfume/KICK THE CAN CREW/Aimer/BIGMAMA【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017】3日目レポ<後編>

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 2017年8月11日、茨城・国営ひたち海浜公園にて、今年で18回目となる【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017(以下、RIJF)】の3日目が開催された。約13万7,000人の来場者を熱狂させた2日間から1週空けての後半戦。Billboard JAPANではそのライブの模様を一部抜粋してお伝えする。

ロッキン3日目<後編>写真(全30枚)


 昨年デビュー10周年、今年は現体制となってから10周年というアニバーサリー続きのBIGMAMAは、【RIJF】のステージもなんと10年連続10回目。ライブを新曲「CRYSTAL CLEAR」でスタートさせると、「空は曇ってるけど、せめてあなたの心が晴れますように」と金井政人(Vo/Gt)。記念すべき年の記念すべきステージで<僕らの愛に一点の曇りなし>と歌うこの新曲で幕開けとは、なんともBIGMAMAらしい。「秘密」と「かくれんぼ」、初期〜中期のBIGMAMAを代表する2つのマスター・ピースが放たれれば、それぞれ悲鳴にも似た歓声が上がる。「楽しんでますかひたちなか? ここからもっと楽しいよ」との言葉通り、大シングアロングが巻き起こった「ファビュラ・フィビュラ」、“ロック×クラシック=Roclassick”の真髄とも呼ぶべき「荒狂曲“シンセカイ”」と、ショーのハイライトを次々と更新していく。続く「BLINKSTONEの真実を」は、金井のナラティブな創造力と柿沼広也(Gt)のハード・ロック然としたギター・リフがBIGMAMAのオリジナリティを体現している。「一緒に飯食って、相談して、何かを解決することはできないけど、あなたの不幸を遠ざけることならできると思ってます。10月15日、日本武道館で初めてワンマンやります。ぜひ遊びに来てください」と語り、現体制となってから初めてのアルバム『Love and Leave』、その1曲目に収録されている「the cookie crumbles」へ。ラストをアンセミックな「MUTOPIA」で盛大に締めくくったこの日のステージは、BIGMAMAにとって、【RIJF】にとって、そして我々リスナーにとって、心にいつまでも残り続ける記念碑的なステージとなったはずだ。

 時刻は18時頃、前後左右を深緑の木々に囲まれた<SOUND OF FOREST>には、唯一無二の歌声で音楽リスナーはもちろん、第一線で活躍する多くの実力派アーティストをも魅了してきたAimerが登場。しなやかで繊細、まさにシルキーと呼ぶにふさわしい歌声で「MOON RIVER」をアカペラ披露し、ショーの幕開けとする。大型フェスティバルでは、どうしても他ステージや飲食エリアから無関係の音が届いてしまうものだが、不思議とそれらが耳に入ってこない。アカペラなのにだ。これこそ、Aimerというシンガーが持つ歌声の魔力だろう。その正体は、音量や音圧で雑音を掻き消すのではなく、耳に他の音を拒否すらさせる圧倒的な説得力だ。そんな歌声の、いつまでも浸っていたい余韻を掬い上げるようにピアノの音色が鳴り始めると、2ndアルバム『Midnight Sun』から「眠りの森」へ。リヴァーヴで輪郭をぼかしたサウンドが瞬く間に“森”へ溶け込んでいくと、続く「LAST STARDUST」では一転、スリリングなアンサンブルが轟音となって響きわたるという、静と動の鮮烈なコントラストが冒頭からクライマックス感を作り出していた。「夏の夜に合う曲たちを持ってきたので最後まで楽しんでください」と挨拶し、「カタオモイ」「夏草に君を想う」「Higher Ground」とオーガニックな3曲を続けたかと思えば、TK(凛として時雨)楽曲提供による「us」で一気にバースト。鋭利な歌声が夜空を切り裂くように放たれる。ラストの「蝶々結び」までを含め、日本が誇るデイーヴァの他を寄せ付けない表現力に心を掴まれ続けた、至極の時間であった。

 いよいよ後半戦の<GRASS STAGE>では、これまでにフィーチャリングや1日限りの復活はあったものの、今年“完全復活”を宣言したKICK THE CAN CREWが登場。待ってましたと言わんばかりの大歓声が会場に響き渡り、1曲目から投下された「千%」の<経て からの ここ>というフレーズにはきっと誰もが胸を熱くしたことだろう。「KREVAです!」「MCUです!」「LITTLEです」「3人合わせて、KICK THE CAN CREWです!」と、この後同じステージに登場するPerfume風の挨拶で笑いを誘い、KREVAは「俺たちのこと知らない人がきっといっぱいいるけど、それでいい! どんな奴か分かってもらうチャンスだから!」と、自信を感じさせる余裕の笑みを見せる。「スーパーオリジナル」「カンケリ01」を畳みかけ、MCUが「普段やらないセイホ―!とかもやろうか!」とオーディエンスとコール&レスポンスを楽しむも、他の2人が完全スルーし熊井吾郎のDJに興味を示すという笑いどころ満載の掛け合いも。そして、KICKが“掛け合いの最高峰”と自称する最新曲「SummerSpot」では、とても速いテンポの曲に乗せて3人が至近距離で短いフレーズを出し合い、オーディエンスが圧倒されるほどのラップ・スキルを見せつけた。後半は、「イツナロウバ」「sayonara sayonara」「アンバランス」と連発される名曲に、終始歓喜と祝祭感が溢れたステージだった。結成20周年の間にブランクがあることを微塵も感じさせないほど息の合った“キャラ立ち3本マイク”は、LITTLEが高々に放った<まだ何も終わっちゃいないぜ>という言葉を改めて感じさせてくれる最高のステージとなった。

 夕陽が落ちかける頃、<GRASS STAGE>には、機械音のSEとともにPerfumeが登場。序盤は「FLASH」「GLITTER」「Magic of Love」と、立て続けにキレッキレのダンスでオーディエンスを魅了していく。本家の「Perfumeです!」というお決まりの挨拶から、楽屋がステージの近くだという話題から本日の出演者に話が及ぶと、のっちは「KICK THW CAN CREW、本当にやばかった! ほとんど歌えたよ〜青春だ〜!!」と叫び、隣にいたかしゆかは「のっち大好きだったよね。私当時のっちにKICKさん教えてもらったんだもん」と感慨深げに頷いた。そして、「みんな次の曲一緒に踊ってね!」と告げ、新曲「If you wanna」の振付のレクチャーを受けたオーディエンスの飲み込みの速さを見たあーちゃんは、「ほんっとにジャパンの人らは音楽が大好きなんじゃね!!」と満面の笑顔。そこからPerfumeのステージではおなじみ“PTA”のコーナーが繰り広げられると、“歯磨きの歌”や童謡の替え歌など、皆を巻き込む奔放さにどんどん引き込まれ空気が和んでいく。そしてまたもや「FAKE IT」「Miracle Worker」と、一糸乱れぬダンスパ・フォーマンスで会場の目を奪うと、「チョコレイト・ディスコ」で皆のボルテージが最高潮に達し、ラストは「TOKYO GIRL」で幕を下ろした。

 そして、この日<GRASS STAGE>の大トリを務めたのは、デビュー10周年を迎えるサカナクション。山口一郎(Vo/Gt)の「サカナクションです!」の一言とともに「新宝島」がスタートすると、会場が熱気と興奮の渦に一瞬で包まれた。その後、強靭なビートのダンス・チューン「M」やオーディエンスが両手を上げて大合唱が巻き起こる「Aoi」、そして「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」と、フェスでは珍しいセットリストを畳みかけていく。さらに、中盤「三日月サンセット」がスタートした頃にはだいぶ陽も落ち、一段と色鮮やかになったステージがとても幻想的に。山口が「皆さん、これからしばらくは自分だけのステップで自由に踊ってみましょう!」と呼び掛け、自身が先陣を切るようにステージ中央で軽快に踊り始めると、観客も音に身を任せ、思いのままビートに乗りステップを踏んだ。後半には「ミュージック」「アイデンティティ」「多分、風。」を連投し、オーディエンスの高揚感が最高潮に達すると、アンコールでとどめの「目が明く藍色」を披露してフィナーレを飾った。この日の曲構成からは、サカナクションのデビューから現在までが凝縮されたようなメッセージも感じられ、10年間の飽くなき探求心をすべて出し切る彼らのステージは、洗練されたサウンド・ワークとライティングに恍惚と見入ってしまうほど圧巻だった。この10年間でロック・フェスのヘッドライナー常連となった彼らは、この先も新鮮かつ鮮烈なものを探しながら音楽シーンの先端を走り続けていくのだろうと改めて感じたエンディングとなった。


◎イベント情報
【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017】
2017年8月5日(土)〜6日(日)
2017年8月11日(金・祝)〜12日(土)
茨城・国営ひたち海浜公園