【激安輸入中古車のススメ】第2回 筆者が10万円で買った初代シトロエン C5(後編)

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(前回のあらすじ)
懇意にしている中古車店に下取り車として入った05年型シトロエンC5 2.0を車両本体10万円という破格値で購入した筆者。アシ代わりのクルマということでたいして期待せずに購入した車だったが、走行距離も4万9,000km台と少なく、内外装は年式の割にキレイで、コンディションはまずまず。新車のデビュー時にはまったくノーマークのクルマだったのだが......。

前編を見逃した方はこちらから!
【激安輸入中古車のススメ】第1回 筆者が10万円で買った初代シトロエン C5(前編)

充分に"らしさ"がある
初代シトロエンC5

ところがである。実際に初代C5を自分のものにしてみると、シトロエンらしい絶妙な乗り味と実用車としての完成度の高さにすっかり参ってしまった。あいかわらず、曲線を多用したボテッとした重苦しいスタイリングにはさほど感銘を受けないが、それを除けば不満は感じない。

C5のディメンションは全長4,740mm × 全幅1,780mm × 全幅1,480mmと、前任のエグザンティアに比べてひと回り大きくなっている。エグザンティアは卓越したパッケージングによってボディサイズに比べるとインテリアが広く、ラゲッジも充分なスペースが確保されていたが、C5はボディサイズの拡大によって居住空間・トランクともに呆れるほど広くなっている。一見セダンに見える初代C5だが、じつは伝統のハッチバックボディを採用しており、トランクの開口部が広く、大きな荷物の積み降ろしもしやすい。


初代シトロエンC5後期型のラゲッジルーム。エグザンティアに比べてボディサイズが拡大したことでトランク容量は呆れるほど大きい。ハイドロサスペンションの採用により、ストラットタワーの出っ張りがなく、使い勝手は良好。

内装はいささかプラスチッキーで新車価格が300〜400万円台のクルマとしては些か質感に乏しいが、これは中古車になると欠点ではなく利点となる。同世代の欧州車によく見られるインテリアのベタつきがほとんどないのだ。数少ない例外であるパワーウィンドウスイッチのベタつきも水抜き剤などのアルコールでさっと拭けばイチコロである。シートは12年の歳月を経てもヘタリはなく、シトロエン伝統のマシュマロのようにふんわりと優しく身体を包み込む感触も健在だ。たしかに過去に所有していたGSAやBX、何度となくステアリングを握ったエグザンティアに比べれば、シートは明らかにコストダウンを感じさせるものの、妙にドイツ車を意識して固いクッションのシートを採用した2代目C5よりも掛け心地は良いように感じる。


初代シトロエンC5後期型のインテリア。3.0V6は本革シートとなるが、2.0はファブリックとなる。かつて筆者が所有していたGSAやBXに比べるとシートはコストダウンを感じるが、掛け心地はなかなかのもの。

ハイドロシトロエン特有の
快適な乗り心地を堪能

C5の走りはハイドロシトロエンらしく乗り心地が柔らかく、独特の操縦感覚に溢れている。じつは筆者が購入したC5は、前オーナーの手によりスフィアが純正のものから社外のコンフォートタイプに交換されていた。そのせいもあるのだろうが、初代C5で不評を買っていた乗り心地の固さは筆者の個体に関して言えば無縁であった。このコンフォートスフィアに交換すると部品代と工賃で10万円くらいは掛かるようなので、交換済みの車両を購入できて幸運だった。

ハイドロサスペンションが本領を発揮する高速クルージングでは、弓矢のような直進安定性に加えて伝統のハイドロサスペンションによるフラットライド感が何よりも魅力だ。路面のうねりを拾っても油と空気を利用したサスペンションが上手にいなし、車内にショックをほとんど伝えない。"どんぶらこ、どんぶらこ"とした独特の乗り心地に掛け心地の柔らかいシートの組み合わせは、ほかのクルマでは味わえないハイドロシトロエンならではのもの。「いつまでも運転していたい」と思わせるほど快適だ。まだ試してはいないが、これなら長距離ドライブでも疲労をほとんど感じないだろう。シトロエンは2代目C5をもってハイドロサスペンションの廃止を決定したが、もう2度とこの独特な乗り味の新車が作られないのは残念なことである。


重い荷物の積み降ろしの時はローポジションに、悪路走破時はハイポジションにと、車高を変幻自在にコントロールできるのもハイドロシトロエンの魅力のひとつ。車高調整はエグザンティアまでのレバー式からスイッチ式に変更された。

初代シトロエンC5は
ファン・トゥ・ドライブだ!

C5はおっとりした性格のクルマで、けっして目を三角にして飛ばすようなクルマではない。だが、所有経験のない人には意外に思われるかもしれないが、シトロエンの製品はどのモデルもハンドリングはシャープで峠道でも結構楽しめる。こんな時でもハイドロサスペンションはメリットとなり、姿勢を安定させたままスルリとコーナーをパスして行く。

動力性能は車重1.4tに143psの直4エンジンだからたいしたことはない。しかし、遅いというほどではなく、その気になれば充分に流れをリードすることもできる。組み合わされるAL4型4速ATは、「日本の交通環境にシフトスケジュールがあっていない」とあまり評判がよろしくないが、加速の際には積極的にシフトダウンし、エンジンブレーキもよく効くセッティングが施されており、MT車に近いシフト感覚となっている。個人的な好みを言わせてもらえば、これはこれで嫌いではない。


初代シトロエンC5後期型のインパネまわり。機能的だがプラスチッキーで質感がやや低いのがフランス車の特徴。ただし、ちょっと前の欧州車によくある内装のベタ付きがないのがありがたい。

初代C5はトラブルを
未然に防ぐための予防策も必要

なお、初代C5はエンジン内にカーボンが溜りやすいため定期的にフラッシングや洗浄効果の高い燃料添加剤の投入が必要で、あまり評判のよろしくないAL4は、粘度が高く、熱にも強いA.S.H社製のATFを2〜3万km毎に交換することでトラブルを未然に防げる、とのアドバイスを行きつけのフランス車専門店から受けた。

ちなみに筆者のC5の燃費はハイオク使用で10km/Lほど。最新のエコカーとは比べるべくもないが、ひと昔前の基準でいえば燃費は悪いとは言えず、燃費性能もまずまず納得している。

新車価格の360.5万円をこのクルマに出すかと言われれば悩むところだが、中古車になって車両価格10万円で買えるというのなら迷うことはない。新車のときにまったくノーマークだったクルマだが、実際に自分のものにしてその良さがわかった。こういう意図せぬ出会いがあるから激安中古車は面白い。

(明日掲載予定の第3回へ続く!)



シトロエンC5の前モデルとなるエグザンティア。1993〜01年にかけてシトロエンの主力となった。ハイドロ・ニューマチックサスペンションなどのシトロエンらしい個性を持ち、実用性と信頼性が高く、現在でも名車としてファンの評価が高い。

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