WikimediaCommonsより(Richard, enjoy my life!さん撮影)

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球児たちの夏が終わった。2017年8月23日、第99回全国高校野球選手権大会決勝が行われ、花咲徳栄(埼玉)が広陵(広島)を14対4で下した。

ファンの視線は、早くもドラフトに移りつつある。なんといっても「目玉」は広陵のキャッチャー・中村奨成(しょうせい、3年)だ。中でも、巨人の動向に関心が集まっている。

各球団からのラブコール合戦

「東の清宮、西の安田」――超高校級のスラッガーである早稲田実業(西東京)・清宮幸太郎(3年)と、履正社(大阪)・安田尚憲(3年)。大会前の注目選手はこの2人だった。

しかし、ともに地方大会で敗退。「怪物」を欠いた状況で本選を迎えるが、マスコミやスカウト、高校野球ファンの注目度が一気に上がった選手が、中村だ。

地方大会は、2回戦で右手首に死球を受けた影響もあり、打率.176(17打数3安打、2本塁打)と低迷するが、甲子園では大暴れ。1大会史上最多の6本塁打、17打点を記録した。

魅力的なのは、打撃だけではない。2塁への送球が最速1秒78と「強肩」を誇り、さらには50メートル6秒0と「足」まで兼ね備えている。

走攻守、どれをとっても群を抜くスター誕生となった今夏の甲子園。もしプロ入りを決断すれば、ドラフトでの争奪戦は必至だろう。

プロ野球では、谷繁元信(元中日)や城島健司(元阪神)、阿部慎之助(巨人)のような「打てる捕手」が久しく誕生していない。

そうした背景もあり、大会中には早くも各球団から「ラブコール」が飛び出している。

巨人のGM、スカウト部長が大絶賛

中でも、巨人からの視線が熱い。

鹿取義隆GM「大学、社会人を含め、どのカテゴリーでもあんな捕手はいない。(1位指名で)競合するでしょ、絶対に」(夕刊フジ、8月24日付)

岡崎郁スカウト部長「広陵の捕手・中村奨成が一番、目立った。逆方向の2本塁打は印象に残った」(スポーツ報知、8月15日付)

渡辺政仁スカウト「近年の高校生捕手では、3拍子そろっているという意味でも屈指の選手」(日刊スポーツ、8月18日付)

巨人といえば、すでに正捕手の小林誠司(28)がいる。ほかにも打撃が自慢の宇佐見真吾(24)も台頭しつつある。本当に必要な選手なのか。

小林、中村の正捕手争いはあるのか

「打てる捕手」の代表格である阿部の後を継いだ小林は、中村と同じ広陵高校出身だ。高校3年時には9番・キャッチャーで夏の甲子園に出場し、全6試合で打率.216(14打数3安打0本塁打)だった。

2人を育てた広陵・中井哲之監督(55)は、

「全然、中村が上ですね」

と評価。高校時代の2人の実力を比較すると、中村に軍配があるようだ。

小林は、高校卒業後、同志社大学に進学。同大のリーグ戦4連覇に貢献するなど大学球界屈指の名捕手にまで成長した。その後、日本生命へと進み、13年には社会人ベストナインを獲得。同年にドラフト1位で巨人に入団した。

中井監督は、小林について

「野球に取り組む姿勢は小林の方が上」

とも評しており、中村にはこうエールを送っている。

「今後ずっと小林と同様の努力ができるか。出来れば末恐ろしい捕手になる可能性は十分にある」