田子ノ浦親方は「(夏巡業を)休んで勝てるなら、みんな休んでいる。けがよりも相撲を取り、体を鍛えないと…」と、稀勢の里の稽古を土台に立て直す考えを明かした。
 答えは、9月の秋場所で出るが、果たしてこの決断が吉と出るか凶と出るか…。

 ただいま力士たちは、夏巡業中。各地で盛り上がりを見せているが、8月10日に行われた茨城県日立市巡業に、稀勢の里(31)が合流した。名古屋場所で左足首などを負傷し、2場所連続して途中休場していたが、師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)と話し合い、「東京で1人で(稽古を)やるよりも、みんなと一緒にやった方がいい」との結論に達したのだという。
 稀勢の里が巡業に参加するのは、横綱になって初めて。およそ4500人の観客の大声援を浴びた稀勢の里は、朝稽古で久しぶりに四股や鉄砲などで汗を流したものの、土俵入りのみで取組には不参加。途中、ライバル白鵬が「大丈夫か」と声を掛ける場面もあり、気になる左足首の状態については、まだまだのようだ。

 「(いまは)しっかり体を作ること。やれることをやるだけです」
 今後のことについて、このように稀勢の里も慎重な姿勢を崩さない。
 先場所後の横審で、「(秋場所は)しっかり体を治してから出てきて欲しい。そうでない場合は休場でいい」と厳しく注文を付けられており、もう同じような失敗は許されない。この中途半端な状態での巡業参加がどう出るか。

 一方、この稀勢の里と対照的なのは目下2連覇中で、大台のV40へあと一つに迫っている白鵬(32)。稀勢の里が合流して3日後の13日、左ひざの痛みを訴え、「ハイ、お役目交代」とばかりに帰京してしまった。
 白鵬の左ひざ痛は39回目の優勝をした名古屋場所の前からあった。この夏巡業前、帰省したモンゴルから再来日する4時間半の飛行機内でもぶり返したという。夏巡業は4横綱の中でただ1人、スタートから参加し、先頭に立って引っ張ってきた。
 「稽古をすると、筋肉が大きくなって神経を圧迫し、痛みが激しくなる。ゆっくりと安静にしているのが一番なんです」(白鵬)

 これに対し、玉ノ井巡業副部長(元大関栃東)も、
 「いま、ここで無理するよりも、治療した方が(秋場所のために)いいという判断なんだろうね。ずっと1人で頑張ってきて、疲れとかもあるだろうし」
 と話していた。

 こわごわと夏巡業に参加している手負いの獅子・稀勢の里。無理はせず、さっさと離脱して治療に専念している白鵬。秋場所で笑うのはどっちだ? 本場所でその結果が出る。