[8.21 第29回ユニバーシアード競技大会・台北大会GL第2節 日本代表5-0カナダ代表]

 5-0というスコアほどの差がある試合ではなかった。特に前半は。「先制点が入るまでは拮抗した展開」と宮崎純一監督が振り返ったように、前半はなかなか点が入らない。ばかりかカナダにチャンスを作られるシーンも多々あった。41分にMF名古新太郎(順天堂大3年=静岡学園高)のゴールが決まらなければ、さらに厳しい展開になっていたかもしれない。

 そんな状況を一転させたのが、FWジャーメイン良(流通経済大4年=流通経済大柏高)の2ゴールだった。後半開始早々のPK奪取は「相手のディフェンスが自分を振り切れない」と判断。体を前傾姿勢にして取りに行ったもの。「狙いどおりにPKを取れたと思う」と笑い、自身の左足で貴重な2点目をゴールに叩き込んだ。

 ジャーメインにはどうしてもゴールを決めたい理由があった。大会に参加する前、アンダーシャツに「矢島輝一(中央大4年=FC東京U-18)」の名前を書いた。ジャーメインが「全日本選抜でも関東選抜でも同じ部屋で、昨年の台湾遠征でも一緒だった。プライベートでもよく会う」という矢島は、3月のドイツキャンプで左膝の靭帯を断裂。手術からの復帰時期は、ユニバには間に合わないタイミングだった。

「アイツが怪我をしてすごいショックだったし、これを着てプレーすることはずっと考えていた」と、ジャーメイン。自身の大会初得点後には、アンダーシャツを見せて矢島の名をアピールした。

 矢島とともに戦っていることをアピールしたい。だが、そのためには「とりあえず得点をとらないといけない」。ところが本大会を前にして行った国内合宿のうち、トレーニングマッチ3連戦となった7月の合宿では無得点。僚友・中野誠也(筑波大4年=磐田U-18)が天皇杯から続いてゴールを量産する中、“FWの仕事”ができないままでいた。

 そんなジャーメインを「もともと少し波のある選手。だけど、いわきでの国内最終合宿あたりからゴールに向かう姿勢がすごく出てきて、周りともうまく合うようになった」と見てきたのが、宮崎純一監督だ。その言葉どおり、いわきFCとのトレーニングマッチでは1得点。そしてカナダ戦では、「結果を出そうという強い意識」(宮崎監督)が、2ゴールという結果につながった。

 しかし、ジャーメインはまだまだ納得していない。前半の34分には、右サイドバック・守田英正(流通経済大4年=金光大阪高)からのドンピシャのクロスを決めきることができなかった。「あれが決まっていればハットトリックだったのに」と悔しがる。「この大会では輝一の分と2人分の点を狙いたい。だから、まだまだゴールが足りない」。まずは2得点、そこからどれだけゴールを重ねられるか。ジャーメインの挑戦は続く。

●ユニバーシアード競技大会2017特集