シーズン開幕前に行われた写真撮影に参加したボルシア・ドルトムントのウスマン・デンベレ(2017年8月9日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】退団を希望してクラブ内で孤立しているウスマン・デンベレ(Ousmane Dembele)にとって、移籍のタイムリミットが刻々と迫る中、同選手の保有権を持つドイツ・ブンデスリーガ1部のボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)は、獲得を目指しているスペイン1部リーグ、FCバルセロナ(FC Barcelona)に対して金銭面の譲歩は行わないと明言している。

 移籍金2億2200万ユーロ(約288億円)でフランス・リーグ1のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-Germain、PSG)に加入したネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)の代役として、バルセロナはイングランド・プレミアリーグ、リバプール(Liverpool FC)のフィリペ・コウチーニョ・コレイア(Philippe Coutinho Correia)とデンベレの獲得を狙っている。

 デンベレはドルトムントと2021年まで契約を結び、リーグ1のレンヌ(Stade Rennes FC)から昨年1500万ユーロ(約19億円)で加入した20歳に対し、クラブは移籍金1億3000万ユーロ(約167億円)の値段をつけていると報じられている。ドルトムントはバルセロナからの獲得オファーをすでに一度断っており、これに不満を抱いて練習をボイコットしたデンベレには、無期限の謹慎処分が科されている。

 ドルトムントのハンス・ヨアヒム・ヴェツケ(Hans-Joachim Watzke)最高経営責任者(CEO)は「われわれには彼を手放す用意があり、求める条件も提示してある。それが満たされない場合、デンベレは残る。交渉はしない」と明言し、すべてはバルセロナ側次第だと見解を示した。

 バルセロナのジョセップ・セグラ(Josep Segura)ゼネラルマネジャー(GM)が先日、デンベレの加入は「近い」と話した際も、ヴェツケCEOはすぐに「状況は1ミリたりとも進んでいない」と反論していた。

■デンベレ本人はフランスに帰国

 デンベレ本人は、すでに独ドルトムント(Dortmund)市内の住居を引き払い、フランスに戻っているが、ヴェツケCEOの言葉通りであれば、バルセロナ移籍がかなわなかった場合は恥を忍んでチームに戻らざるを得ない。

 デンベレがメンバーから外される中で、チームは19日に行われたVfLボルフスブルク(VfL Wolfsburg)とのリーグ開幕戦に3-0で快勝し、デンベレに代わって右ウイングに入ったクリスティアン・プリシッチ(Christian Pulisic)は1得点1アシストと見事なプレーを披露した。

 今夏の移籍市場は8月31日に閉幕する。ヴェツケCEOは提示額を上げるのであればそれまでにやることだと表向きには話しているが、独スポーツ日刊紙ビルト(Bild)によると、バルセロナには27日が最終期限だと伝えているという。

 有力選手の移籍をめぐる騒動が続く今夏、ドイツでは移籍市場の閉幕時期に関する大きな議論が起こっていて、ヴェツケCEOも「夏の間、ファンは新シーズンを心待ちにする。そしてシーズンが始まれば、サッカーのことを話題にするべきだ。こういった寸劇ではなくね」と話し、移籍期限は月末ではなく8月1日にするべきだと主張している。

 バイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)のカール・ハインツ・ルンメニゲ(Karl-Heinz Rummenigge)社長もこの意見に同調し、「欧州サッカー連盟(UEFA)はすでに賛成している。市場はリーグ開幕とともに閉まるべきだ。でなければおかしい」と述べた。

 2014年にロベルト・レワンドフスキ(Robert Lewandowski)をバイエルンに引き抜かれたドルトムントは、今ではすべての主力選手と水も漏らさぬ緻密な契約を結んでいて、このところはクラブと契約を延長する選手が多くなっている。

■所属選手への警告の意味も

 ドルトムントのデンベレに対する姿勢は、ビッグクラブのターゲットになる可能性のある主力選手、特に以前からスペイン1部リーグのレアル・マドリード(Real Madrid)移籍希望を隠さないチーム得点王のピエール・エメリク・オーバメヤン(Pierre-Emerick Aubameyang)への警告といえる。

 デンベレの態度はドイツ国内で大きく批判されており、その行動はスペインのビッグクラブに強く感化されたものだとのうわさも出ている。バイエルンのウリ・ヘーネス(Uli Hoeness)会長は、「もし背後にバルセロナがいるのだとしたら、かのクラブにまったく敬意を抱かない」と軽蔑している。

 ドイツ代表のヨアヒム・レーブ(Joachim Loew)監督も、ドルトムントのデンベレに対する姿勢は正しいと支持し、「契約を結んでいる選手がストライキを起こし、別のクラブに行きたいと言うなど言語道断だ。契約がなんの意味も持たないなどとんでもない話だ。ドルトムントのスタンスは完全に正しい」と語った。

 米国代表のプリシッチもリバプールから狙われているとされる中で、ドルトムントはどちらの立場が上かを選手にわからせなくてはならないと、ヘーネス会長は話している。

「ボルシア・ドルトムントのようなクラブは、ビッグクラブとしての力を示さなくてはならない。望むものを受け取らない限り、選手は手放さないというところをね。すべての人間に、一家のあるじが誰かをわからせる必要がある」
【翻訳編集】AFPBB News