画像

写真拡大

 これまでビューアビリティやブランドセーフティー、不正インプレッション計測の必要性や、それらのデータを活用することで実現できる、広告キャンペーンの効果改善について解説しました。ではこれらのデータ計測・活用の普及が進むことで計測される側、つまりメディア側にどのような影響をもたらすのでしょうか。最終回となる今回は、今までとは視点を変え、メディア側でのデータの活用とその可能性について紹介します。

■広告効果検証がもたらすメディアへの影響

 弊社はメディア向けのソリューションも提供しており、実際にメディア側の方々にご利用いただく機会や、説明させていただく機会も増えています。データを計測されることが売上減につながるのでは? 多くのメディア関係者はこのような懸念を抱えています。

 100%ビューアブルな枠が存在せず、不正インプレッションなどもある中、いかに収益を減らさずに計測データと付き合っていくのかが、メディア側の最大の課題だと考えます。

 非常に高いビューアビリティを追求し、予算の削減を掲げる広告主も存在するため、実際に計測データがメディアの収益に悪影響を与えてしまう可能性も否定できません。

 ただし、それはデータの偏った利用や極端な基準がもたらす結果であり、包括的なデータ利用により特定メディアの優位性が示され、逆に広告予算がそのメディアに集中投下されるといったケースも多く存在しています。

 ここで重要になってくる要素が、これまでの連載でも解説した「閲覧時間」と「メディアクオリティ」なのです。

■広告枠、過小評価されていませんか?

 ビューアビリティの「率」だけを参照した改善の落とし穴や、閲覧時間とキャンペーン効果との関係性については第三回で解説した通りです。ユーザーごとの広告閲覧時間を効率的に蓄積していくことが、ブランド認知度やコンバージョンへ直結的な影響を与えることは、データからも裏付けされています。

 その一方で、どうやって効果的な閲覧時間を蓄積するかが課題にもなっており、弊社ソリューションを利用する広告主からも「ではどこに広告を配信すればいいのか?」という質問をいただくことが多々あります。そうした疑問へ答える際には、まず第一に下記データをご覧いただいています。

 これはあるメディアで計測したデータを基にしたサンプルです。「In View Rate」がビューアビリティを、「In View at Page Open」が「ページが開いた瞬間に見えていた率」を指しています。

 「In View at Page Open」が90%を超えている4番の枠はファーストビュー枠で、ビューアビリティも85%近くと非常に高く、ビューアビリティを基準にしている広告主からもニーズが高い枠です。

 逆に4番以外の枠はどうでしょうか。「In View at Page Open」に関しては4番よりかなり低く、恐らくファーストビュー以下の枠になります。

 しかしビューアビリティに関してはどれも国内平均をはるかに超えており、1番、3番、5番に関しては70%を超える「高ビューアビリティ」の枠になります。さらにこの3枠に関しては「Avg Time in View」(平均的に閲覧可能だった秒数)がそれぞれ9秒、18秒、7秒と、4番の3秒をはるかに凌ぐ結果になります。

 コンテンツや記事が良質なサイトにおいて、BTF(スクロールしなければ見えない位置)以降の枠であっても記事隣の枠であれば見られている可能性が高く、閲覧時間も長くなり、結果として非常に効果的な枠になります。

 こうしたデータからも、仮に広告主が閲覧時間を基準に枠を選定できれば、一番効率よく閲覧時間を蓄積できる1番と3番を選ぶことができます。

 しかし、データが活用されていない状況においてはファーストビュー枠の4番以外は、バイイングの候補に挙がっていないケースが多く、せっかくキャンペーンの成果に貢献できる枠があっても過小評価されてしまっているのが現状です。

山口 武[著]