「様々な色を私の顔として出せたと思います」と自信を見せた井上実優

 シンガーソングライターの井上実優(20)が23日に、2ndEP『Shake up EP』をリリース。小学校6年生の時に出場した『唐津ジュニア音楽祭』をきっかけに、有名アーティストを数多く輩出した『音楽塾ヴォイス』に入塾。2016年に日本武道館で開催されたライブイベント『FULL CHORUS 〜音楽は、フルコーラス〜 in 日本武道館』に、メジャーデビュー前ながら大抜擢され出演。今年4月にシングル「Boogie Back」でメジャーデビューした。今作には彼女なりの応援ソングであるという、表題曲「Shake up」をはじめ、SOIL&“PIMP”SESSIONSのタブゾンビが参加した「Robin」など4曲を収録。「様々な色を私の顔として出せたと思います」と自信を見せる。デビューまでの経緯や、敬愛する米シンガーソングライターのクリスティーナ・アギレラに感じる魅力など、今作の制作エピソードとともに話を聞いた。

ビート感を加えて歌詞により説得力を

「Shake up」初回限定盤

――表題曲の「Shake up」は、軽快なポップサウンドながらパワフルさも兼ね備えた楽曲ですが、どのように作っていきましたか?

 タイトルの「Shake up」は、直訳すると“振る”という意味ですが、私なりに“弾ける”や「自分をありのままさらけ出す」という意味に捉えて、今回作詞をしました。

 この楽曲は、主人公が“君”という人物を励ますストーリーです。“君”は、素の自分に自信を持てずにいて、そんな“君”を主人公は「ありのままの姿は何も格好悪くはないし、そのままで良いんだよ」と励まします。そんなストーリーを通して、同じように悩んでいる人を励ますことが出来たら良いなと思い制作した、私なりの応援ソングです。

――井上さん自身にも、“君”のような部分があったのですか?

 そうですね。私もありのままをさらけ出すのは、得意ではないかもしれません。アーティストとしてリスナーにエールを贈るのと同時に、私自身を励ましている感覚ですね。

――作曲と編曲、歌詞の共作にミワコウダイさんが携わっていますが、どういったやりとりをしましたか?

 まずサウンドプロデューサーのミワコウダイさんからラフなデモが届き、それを聴いて世界観や匂いなどを感じ取って、「こういう感じかな?」と歌詞を書き、お互いに意見交換しながら修正して…というやりとりを何度も繰り返して、ブラッシュアップさせていきました。

 デモの段階から「Shake up」というフレーズは仮歌に入っていて、他の言葉も考えたのですが、メロディとのハマりが良かったのと、「Shake up」という言葉から「さらけだす」をテーマに思いついたのがきっかけで、この制作を進めていきました。

――オケやサウンドの部分で、井上さんがこだわったのは、どういう部分ですか?

 ただポップなだけ、ただ疾走感があるだけではなく、真剣に誰かを励ましたいし、真剣に誰かの背中を押したいと思った時、やはり軽い音色だけでは歌詞の意味を支えきれないと思いました。もっと芯の強さを表現するためにギターの音を何パターンもアレンジしたり、ビートを強くしたりと、サウンドアレンジを足していきました。音色の重さや深みが増したことで、歌詞により説得力を持たせることが出来たと思います。

――レコーディングでは、どういうことを意識して歌いましたか?

 Aメロやサビの部分の差別化は、かなり意識しました。たとえばAメロは、隣にいる人に「大丈夫だよ」と語りかける雰囲気で、“君”との物理的な距離をイメージして歌いました。それをイメージするかしないかで、伝わり方がまったく違うと思います。表情も同様で、励ましている側の私の顔がこわばっていたら、明るく元気な声も出せません。

――でも一生懸命に歌っていれば、顔もこわばりませんか?

 マイクの向こうに聴いてくれる人をイメージして、身振り手振りをつけながら、笑顔を意識して歌いました。まるでライブで今歌っているかのように、目の前にお客さんがいる気持ちで歌いました。

――「Shake up」のMVは、コインランドリーで撮影されていますね。どうしてコインランドリーで?

 この楽曲のMVをつくるにあたって、監督と相談していたイメージは、「学生の夏休み」でした。5人の若者が、休みの日に洗濯をしたり、みんなと遊んで話をしている、というシチュエーションです。

 私もコインランドリーで歌うシーンを撮ったのですが、あんなにおしゃれなコインランドリーがあるんだと、驚きました(笑)。コインランドリーで歌うことは、もう一生ないと思います。とても新鮮な体験でしたね。

――振り付けを踊りながら歌うシーンもありますね。

 もともと私は、踊ることが好きでした。敬愛するクリスティーナ・アギレラもダンスをしながら歌っていますし、今後彼女のようにダンスを採り入れたパフォーマンスにどんどんチャレンジしていきたいと思って、去年から本格的にダンスをはじめました。今回は、ATYのお二人に振り付けをしてもらい、出演もしていただいています。ダンスもとても可愛らしいので、ぜひたくさん聴いて、たくさん見て欲しいです。

唐津ジュニア音楽祭でグランプリ受賞

井上実優

――自分の音楽に影響を与えた、いちばん好きなアーティストは誰ですか?

 クリスティーナ・アギレラです。小学生の時から今まで、彼女の音楽に惹かれています。彼女の持つ芯の強さや太さといったものをいつか私の持ち味として身につけ、彼女のように歌いたいです。

――アギレラを好きになったきっかけは?

 父が音楽に詳しく、J-POPの最新曲も常にチェックしていて、家ではいろんな音楽に触れていました。そんな父から、小学5年生の時に福原美穂さんを勧められて、聴いてみたところ衝撃的に格好良くて、そこからソウルやブラックミュージックにはまりました。その翌年、小学6年生の時に『唐津ジュニア音楽祭』に出て、グランプリを受賞したことをきっかけに音楽塾ヴォイスに所属させていただくことになり、そこで初めてクリスティーナ・アギレラを聴きました。

――『唐津ジュニア音楽祭』には、どうして出ようと?

 以前から父は、私に様々なオーディションを勧めていました。今思うと、父はあの時、私に少しでも可能性があるならチャレンジさせたいと思っていたのだと思います。でも当時の私は、歌が楽しく歌えれば良いという感覚で、デビューなんて本当に考えていませんでした。『唐津ジュニア音楽祭』に関しては、父が勝手に応募していて出ざるを得ない状況になってしまい、ガチガチに緊張して泣きそうになりながら出ました。

――でも、そこでは最終的にグランプリを受賞した。ガチガチで泣きそうだったのに、すごいですね。

 びっくりですよね。勝手に応募した父も、まさかそこまでとは思っていなかったようで驚いていました(笑)。

――クリスティーナ・アギレラのどんなところに魅力を?

 私が一番心を奪われたのは、彼女の声です。ハスキーさや太さがあり、それが力強いサウンドとマッチしている。ただ聴いて気持ちいいだけではなく、私もこんな風に歌ってみたいと思わせてくれたのがアギレラでした。

 他にもブルーノ・マーズのようなメロディセンスに長けたアーティストも好きですね。だから私の音楽にも、クリスティーナ・アギレラやブルーノ・マーズに通じるようなものを感じて欲しくて、私なりに日々研究しています。

――でも小中学生くらいだと、周りはみんなアイドルやダンス&ボーカル系のJ-POPのファンだったのでは?

 洋楽を聴いている友だちもいましたが、流行りの楽曲をその都度聴いている感じでした。私は、クリスティーナ・アギレラのように一人のアーティストを深掘りして聴くことが多いので、同じような聴き方をしている友だちはいませんでした。テイラー・スウィフトも、アコギ一本でカントリーをやっていた時代からずっと聴いていました。

――深掘りして聴くのですね。

 広く浅くよりは、一人のアーティストをどんどん深く掘って聴くことが多いです。私がまだ知らない、隠れた名曲がきっとあるはずだ! と。

海外でも歌を届けたい

「Shake up」通常盤


――収録曲の「Robin」は、ファンキーな楽曲ですね。

 この楽曲は、クリスティーナ・アギレラの「Ain’t No Other Man」という楽曲をイメージしています。80年代のクラブやバーで歌っているような、妖艶な雰囲気を意識して作詞をしました。主人公は、高飛車で男の人を手玉に取るような大人の女性です。

――フェイクがあったり、すごく自由に歌っている感じですね。

 基本的には作曲者のミワさんが、細かくメロディを付けているのですが、フェイクなどは、レコーディングの時に私からも提案しています。「Robin」の最後のフェイクも、私が考えました。

――ブラスセクションには、SOIL&“PIMP”SESSIONSのタブゾンビさんなどが参加されていて。

 タブさんとは、今回のレコーディングで初めてお会いしました。とても気さくでやさしい方でした。最初は緊張しましたが「ここはこういう風にしてほしい」と、納得がいくまで意見のキャッチボールが出来ました。それだけに、私がいちばん気持ちいいと思える音と歌を収録することが出来ていると思います。とても充実したレコーディングでした。

――演奏する側も、ちゃんと言ってもらったほうが、やりやすいと思います。

 タブさんにもそう言って頂きました。「Robin」のアウトロのトランペットソロは、最初の予定では無かったのですが、急遽アドリブで私のフェイクに合わせてソロを吹いてくれました。ものすごく嬉しかったですし、貴重な経験になりました。そういったサウンドなど、細かく聴いて欲しい楽曲です。

――また「Sweet Love」という曲は、ミディアムバラードのしっとりとしたナンバーですね。

 はい。恋愛の別れを歌った歌詞ですが、私が上京する前の気持ちも重ねています。

――<借りてた小説もここに>という歌詞も出てきますね。

 実際に、まだ返してないです(笑)。そういった私の経験を、うまく歌詞とリンクさせることが出来たと思います。

 この楽曲はミディアムバラード調で、少し切ない歌詞を載せていますが、後ろではしっかりとビートが鳴っています。そういったギャップがある楽曲表現は、私らしい部分かなと思います。

――けっこう歌い上げるところもあるので、歌っていて気持ちいいのでは?

 すごく気持ちいいです。

 今回の『Shake up EP』は、様々な色を私の顔として出せたと思いますし、いろいろな夏のシチュエーションで楽しんでもらえたらなと思います。「Shake up」は、ドライブしながら聴いて盛り上がって欲しいですし、「Sweet Love」は、夏の終わりのしっとりとした気持ちの時に聴いて欲しい曲です。

 「Shake up」が表題曲にはなりますが、他の楽曲も決して引けを取らないと言うか、どれが表題曲になっても良いくらいの自信作です。4曲目には、牛尾憲輔さんにリミックスしていただいた「Boogie Back」も収録しているので、とても豪華な1枚になりました。

――今後の目標は何かありますか?

 より多くの方に私のことを知っていただいて、日本全国でライブをおこなうことです。そしていつか、日本武道館でのワンマンライブをやりたいです。

 また、海外でもライブをしたいです。デビュー曲「Boogie Back」がアニメ『ドラゴンボール超』のエンディングテーマだったこともあって、ブラジルやスペインなど様々な国から様々な言語で応援メッセージをSNSにいただくようになりました。いつか、そんなみなさんの声にもお応えしたいです。

――将来的には、クリスティーナ・アギレラと共演も?

 もしそれが叶ったら、話を聞いた瞬間気絶すると思います(笑)。

【取材=榑林史章】

井上実優 井上実優 「Shake up」初回限定盤 「Shake up」通常盤 井上実優

◆井上実優とは 1997年生まれ、福岡県出身の20歳。小学校6年生の時に出場した『唐津ジュニア音楽祭』をきっかけに、音楽塾ヴォイス主宰の西尾芳彦氏に師事。中学生の時から歌唱・作詞・作曲を学んだ。2016年春に上京し、同年に日本武道館で開催されたライブイベント『FULL CHORUS 〜音楽は、フルコーラス〜 in 日本武道館』に、メジャーデビュー前ながら大抜擢され、出演。今年4月にシングル「Boogie Back」でデビューした。

作品情報

『Shake up EP』

井上実優

8月23日発売
【CD+DVD】 1800円(税抜)VIZL-1224
【CD】 1200円(税抜)VICL-64837

▽CD収録曲
01.Shake up
02.Robin
03.Sweet Love
04.Boogie Back (kensuke ushio REMIX)

▽DVD収録内容
Shake up (Music Video)
Shake up EP - Behind the Scenes - (Making Video)

公演情報

▽インストアライブ
8月26日 福岡・タワーレコード福岡パルコ店
9月9日 大阪・タワーレコード梅田NU茶屋町店
9月10日 愛知・タワーレコード名古屋近鉄パッセ店