法律的には裸足や靴下での運転は問題ない

 日本人は、靴を脱いで裸足になると気持ちがくつろぎリラックスできる傾向があるのか、クルマの運転中でも裸足になりたがるドライバーが、少数ながらいるようだ。裸足派の意見としては、リラックスできる、眠気が取れる、ダイレクトなペダルタッチで、正確で繊細なペダルコントロールができる、踏み間違いがない、車内が汚れない(土足禁止……)といったものがある。

 法律的にいえば、「運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物をはいて車両等を運転しないこと(道路交通法71条6号 東京都道路交通規則第8条2号)」という定めはあるが、裸足運転NGとは書かれていない。しかしこのルールは、運転中は履物を履くのが前提であり、その履物はサンダルのように操作中に脱げ落ちたり、足からずれて操作ミスの原因であってはならないと規定しているとも考えられる。

 というのも、裸足で運転するのは、やはり危険な面があるからだ。どのような危険があるかというと、まず第一に、とっさの時にフルブレーキが弱くなる可能性がある。あの小さなブレーキペダルを思いっきり踏むためには、靴底という緩衝材は欠かせないのではないだろうか。まして、小さな石などが足裏やペダルについていたとしたら……。

 緊急回避のためのフルブレーキというのは、それこそペダルを蹴飛ばすぐらいの力、踏力でいえばほぼ自分の体重と同じぐらいの力でペダルを踏み込み、なおかつクルマが完全停止するまでその力を維持し続けるのが理想といえる。

 ドライビングスクールなどで、トレーニングを積んでいない人は、とっさのときにフルブレーキ(ABSが瞬時に効くレベル)ができない人が結構多いが、ただでさえ慣れていないフルブレーキを、とっさの時、裸足でどれだけ思いっきり踏めるのかと考えると、かなり疑問がある。

 これは極端な例としても、いざというとき、躊躇せずに最大限の踏力でブレーキペダルを踏めるよう、運転に適したシューズを履くのが一番。またクラッシュした際も、できるだけ素肌の露出が少ない方が、怪我をするリスクは減らせるし、事故後、速やかに車外に出る必要があるときも当然あり得る。

 そうした時、事故現場には、ガラスの破片や、オイル、部品などが飛散している可能性が大きいので、裸足で脱出するのは問題があるだろう。そのほか裸足になったときに、脱いだ靴を運転席のフロアに置きっぱなしにしていたとしたら、何かの拍子にその脱いだ靴がペダルに挟まり、運転に支障をきたすことも……。

 些末なことでは、裸足になることで、車内に足裏の嫌なにおいが広がるといった問題も!? というわけで、法律面ではとくに抵触するとはいえないが、裸足は決して運転に適しているとは言い難い。裸足が原因で運転操作に不都合が生じるリスクは低くはないのだ。

 これらのリスクを考えると、やはり裸足での運転はNGといえる。クルマの運転席は、自宅のリビングではなく、道路の上は車内といえども完全なプライベート空間ではない。靴を脱いでくつろぐのは、目的地に着いてからにしておこう。