妊娠中に起こると怖い「陰部静脈瘤」。専門家に聞いた、早期に気づく方法

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妊娠中に起こりやすい「静脈瘤(じょうみゃくりゅう)」って?

女性であれば、誰もが他人事ではない「静脈瘤」。きっと多くの人が、ふくらはぎに血管がボコボコと浮き出る「下肢静脈瘤」については聞いたことがあるでしょう。

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下肢静脈瘤の治療に取り組む北青山Dクリニックの阿保義久先生によると、近年この静脈瘤は、出産年齢の高齢化、共働きなどの勤労妊婦の増加などが理由で、女性の発症率が増加傾向にあるそうです。

一体、どんな病気なのでしょうか。

阿保義久先生(以下阿保先生): 静脈瘤とは、逆流を防ぐ静脈の弁が何らかの原因で壊れる、もしくは働かなくなってしまったために、血液が逆流して滞り、静脈が瘤のように膨らんだ状態のことをいいます。

どうして妊婦に発症しやすいの?

阿保先生によると、静脈瘤は妊娠中に発生しやすいのだそう。その理由としては次の2つがあるそうです。

エストロゲン(卵胞ホルモン)が血管を拡張し、静脈弁の動きが鈍るため子宮の増大によって骨盤内が圧迫され、血管に負担がかかるため

阿保先生:妊娠中は、胎児に酸素や栄養を供給する必要があるため、血液量が増加し、血管が拡張します。その上、エストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンが増加し、このホルモンの働きによっても血管が拡張します。

この血管が拡張しすぎることで、「静脈弁」という静脈の逆流を防止する弁が正常に機能しなくなり、静脈瘤が発症しやすくなります。

また、妊娠中はどんどん子宮が大きくなり周囲の臓器を圧迫します。特に大静脈が圧迫されると下半身の静脈の血流が滞り、静脈内の圧力が大きくなって逆流を防止する弁に負担がかかります。

それにより弁が壊れたり、機能不全をきたしたりすると血液が逆流して、静脈瘤が発症しやすくなります。

阿保先生によると、静脈瘤は妊娠初期から現れることもあるものの、多くの場合、お腹が大きくなりやすい妊娠中期以降で起こりやすいそうです。

「陰部静脈瘤」に注意を

静脈瘤には複数の種類がありますが、子宮に腹部の静脈が圧迫されることで起こる「陰部静脈瘤」は、特に注意が必要だといいます。

阿保先生:陰部静脈瘤の症状は、太もも・膝・ふくらはぎにかけて、裏側にボコボコした血管が浮き出るほか、鈍い痛み、はれぼったさ、熱感などを感じることもあります。

腹部ではなく、会陰部にできることもあります。ひどくなると炎症を起こし、腫れや痛み、熱を出すこともあるため、注意が必要です。

この陰部静脈瘤は、お腹の中の赤ちゃんには影響はないのでしょうか。

阿保先生:胎児への影響はありません。ただ、重症化すると母体の負担が大きくなります。

静脈瘤に早期に気づくには?

陰部静脈瘤に限らず、妊娠に際しては静脈瘤全般に気を付けたいものです。そこで阿保先生に、早期に見分ける方法を教えてもらいました。

阿保先生: 下肢静脈瘤の初期症状としては、足のかゆみ、こむら返り、重苦しさなどが挙げられます。それらの症状を伴わずに血管のコブが発症することがあります。

静脈瘤が一旦発症してしまうと症状が自然に治ることはなく徐々に悪化してしまうので、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

前記の症状はあるものの、明らかな血管のコブが見られない場合は、立ちっぱなしを避ける、1日30分ほどのウオーキングを行う、適度な圧のかかるストッキングを着用して静脈を保護するなどの生活療法に取り組むことで、下肢静脈瘤の発症や進行を抑えることができます。

妊娠中はもちろん、その他の時期にも、今回ご紹介したことに心当たりがあれば、すぐに医師の診断を受けるようにしましょう。

取材協力:阿保義久先生

東京大学医学部卒業。2000年に北青山Dクリニックを設立し、外科医としてのスキルを生かして日帰り手術を行うほか、病気を作らない予防医療、治癒が可能な段階で早期発見するための人間ドック、尊厳を守るがん治療としての遺伝子治療、生活の質を高めるためのアンチエイジング療法まで、質の高い医療サービスの提供に励んでいる。