就任半年時点の支持率は戦後最低 Reuters/AFLO

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 ホワイトハウスを長くウォッチしてきたジャーナリストの落合信彦氏は、支持率が急落を始めたトランプ政権に関して極めて悲観的なスタンスをとっている。トランプ氏が大統領に就任して以降のこの半年間について、入国禁止の大統領令、TPP脱退、パリ協定脱退などを挙げつつ「世界に混乱と失望をもたらした半年間だった」と断じている。

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 そんなトランプが就任前から一番力を入れていたことは何か。ツイッターだ。

 7月初旬には、プロレスの場外乱闘で、顔が「CNN」のロゴになっている男性をトランプ自身が殴っている動画をツイッターに投稿した。これは、大統領就任以前にプロレスのイベントに参加した時の映像を加工したものだった。メディアへの暴力を助長するような動画には、大きな批判が集まった。

 その前にも、テレビで自身を批判した女性キャスターについて、「IQが低い」「整形手術している」と書き込んだ。

 ニューズウィークが、オーストラリア放送協会の論説委員クリス・ユールマンによるトランプについての的確な指摘を紹介している。

 それによると、G20でのトランプは「孤立して友人もいない」「世界の先頭に立ちたいという欲求も、知的能力も示さなかった」。

 そして「140文字(のツイッター)で不機嫌をぶちまけ、大統領としての貴重な日々を浪費する男だ」。

 まさにその通りである。当然だが、ツイッターで暴言を吐き続けることが大統領の職務ではない。

 トランプは、選挙公約で「オバマケアを中止する」「アメリカ国内のインフラ投資を増やす」「大規模な減税をする」などと主張していたが、そのどれも実現の目途が立っていない。仕事もせずにツイッターばかりやっている男を、なぜアメリカ国民がいつまでも大統領として君臨させ続けているのか、理解に苦しむ。

 私が、著書『そして、アメリカは消える』で「アメリカが崩壊すれば、世界がジャングル化する」と指摘したのは昨年9月だった。

 それから1年近くが経とうとしているが、その間、世界各地で大規模なテロが頻発し、中国は日本の領海を侵犯したり南シナ海への覇権を強めたりと横暴を尽くし、北朝鮮は弾道ミサイルを何発も打って世界の平和に挑戦する態度を明確にした。

 残念ながら予想通り、いや、予想以上に、世界は「ジャングル化」してしまった。奇しくもこの連載のタイトル通り、「新世界大戦の時代」に突入したと言える。

 恐ろしいのは、これまで日本のそばにいたアメリカという「強く大きなゾウ」がいなくなったことに、日本の政治屋たちも国民の多くも気付いていないことだ。かつての“世界の警官”はどこにもいない。今、日本は猛獣だらけのジャングルを一人、裸で歩いているのである。

 すぐ隣にいる狂犬、北朝鮮は、日本への敵対姿勢をエスカレートさせている。アメリカはICBM(大陸間弾道ミサイル)の試験発射を事実上の「レッドライン(越えてはならない一線)」であるとしていたが、金正恩はそれをいとも簡単に踏み越えてきた。

 金正恩がICBMの発射準備が「最終段階に達した」と主張した今年初め、トランプは大好きなツイッターで「そのようなことは起きない」と投稿していたが、その希望的観測はあっさりと打ち砕かれたのだ。北朝鮮が「レッドライン」を越えても、アメリカは何もできない、何もしないことがはっきりした。

 そんな時代なのに、我が国の政治屋たちは相変わらず自分の立場と高額な議員報酬を守ることばかり考えている。

 メディアは、誰それが失言した、出会い系バーに行ったなどと、面白おかしく取り上げることばかりに夢中になっている。だが、国民は、そんな情報に踊らされてはならない。国家の未来、国益について真剣に考えている政治家だけを選び、カネのことばかり考えている馬鹿議員たちを一掃すべきだ。

 そうしなければ、「ジャングル化」した世界の中で、多くの国民の命が危険に晒されることになるだろう。今一度、それをここで予言しておく。

※SAPIO2017年9月号