金正恩氏

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北朝鮮の金正恩党委員長が今月前半、軍事境界線にある朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の見張り所を密かに訪れていたことがわかった。22日、聯合ニュースが複数の韓国政府筋の話として伝えた。

自分の「ヘンな写真」公開

それによると、正恩氏が訪れたのは中部戦線の見張り所で、向かい合う京畿道・漣川の韓国軍見張り所(GOP)から1キロしか離れていない。文字通り「最前線」である。

正恩氏は先月30日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」型の2回目の発射成功を祝う宴会に出席。半月後の今月14日、戦略軍司令部で米領グアムに対するミサイルの包囲射撃計画について報告を受けるまでの間、動静が途絶えていた。見張り所を訪れたのは、この間のことだという。

正恩氏は、極端な秘密主義で神秘性を守っていた父の故・金正日総書記と比べ、開けっ広げな性格に見える。元来から露出好きな性癖なのか、かつては重要機密として隠されていた最新兵器の類も平気で人目にさらし、ついでに自分のヘンな写真までガンガン公開している。

(参考記事:金正恩氏が自分の“ヘンな写真”をせっせと公開するのはナゼなのか

地雷で吹き飛ぶ

それにも関わらず、今回の見張り所訪問についてはいっさい、公にしていない。韓国軍当局はこの「隠密視察」を特異な非公開活動と見なし、北朝鮮による奇襲的、戦術的な挑発の可能性に備えているというが、確かにこれは正恩氏の「本気モード」の動きと見るべきなのかもしれない。

普通のトイレを使えず、専用器材を持ち歩く正恩氏のご一行様が敵に悟られないように動いたわけだから、この隠密視察は高度な軍事作戦として実行されたはずなのだ。

何しろ、軍事境界線ではちょうど2年前、北朝鮮側が仕掛けた地雷が爆発。接触した韓国軍兵士らの身体が吹き飛ばされ、南北が戦争寸前に至ったことがあった。軍事境界線付近で偶発的な衝突が起これば、正恩氏めがけて銃弾が撃ち込まれるリスクだってあったのだ。

正恩氏が、何の目的で見張り所を訪れ、現場の将兵にどんな指示を与えたかはわかっていない。

だが、何の実績もないままに権力を継承した正恩氏が、米軍の偵察衛星にわが身をさらしながら弾道ミサイルの発射を現地で指揮し、最前線にも直々に乗り込むなどの行動を重ねながら、指導者としての権威を増してきている可能性を無視してはならないだろう。

その効果も今のうちはまだ、せいぜい周囲の側近らに対する指導力を高める範囲内に収まっているだろう。

一般の北朝鮮国民は、正恩氏の権威など認めていない。そうであればこそ、我々はいずれ北朝鮮の体制が変わり、核のリスクが除去されるものとの期待を持つことができる。

しかし仮に、正恩氏が時間の経過とともに本物の権威を身につけてしまったらどうなるだろうか。

正恩氏に、彼が独裁者として成長するための十分な時間を与えてしまうことは、決して我々の利益にはならないのだ。