鈴木が試合前の準備について先発に尋ねると……。(C)NASTIC

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鈴木 自分は今27歳なんですが、岩政さんは27歳の時にどんなことをしていましたか?
 
岩政 鹿島でJリーグ2連覇を達成したあたりですね。その頃は、ただただ必死でした。というか、3連覇中はずっと必死だった気がします。
 私は鹿島に加入した最初の3年間でひとつもタイトルが取れませんでした。私の前に秋田豊さんがいただけに、鹿島を優勝させられないセンターバックは「まずいだろ」と。ここで優勝させられないなら、鹿島にいてはいけないなと思っていました。
 そうしたなかで、4年目のリーグ戦で優勝できた。ようやく「やっとここにいられる。サッカー界で生きていける」と思いました。
 
鈴木 そこから岩政さんはリーグ3連覇を達成し、他にも多くのタイトルを獲得していますよね。勝ち続けられる秘訣ってなんですか?
 
岩政 ブレずにやり続けることですかね。あとは、相手に「勝負強い」と思わせるのも大事です。鹿島の選手たちは、リーグ戦最後の数試合で競っていれば「優勝する」と信じているし、周りは「鹿島と競るのは嫌だ」と思っている。心理的に優位に立てるのは大きいですよ。
 
鈴木 試合前にどんな準備をしていました? 鹿島で優勝争いをした時も、日本代表でもプレッシャーを感じたと思いますが。
 
岩政 プレッシャーからは逃げられないので、正面から向き合っていました。鹿島や代表の時だけでなく、去年の岡山でも試合前日に全然寝られないことがありましたよ。
 
鈴木 試合直前は?
 
岩政 外にはあまり見せないようにしていました。もともと楽観的になれない人間だから、いろんなことが不安でしかない。そこはずっと克服できずに来て、最終的には”演技”でカバーしていました。
 
鈴木 演技ですか?
 
岩政 自信がある自分を演じて、胸を張って試合に入っていました。つまり、メンタルの問題には、フィジカル面からのアプローチが効果的だと思います。演じているうちに、それにつられてメンタルも上がってきます。まあとにかく一番大事なのは、試行錯誤しながらしっかり準備して「やり切った」と思って挑むことですね。
鈴木 すごく分かります。自分も似たような感じですね。ミスしたらどうしようと思うから、納得できる準備をしないとダメ。良い準備ができて開き直れると良いプレーができます。
 
岩政 ただ、もう私はプロクラブのプレッシャーと向き合わなくていい環境なので幸せです(笑)。
 
鈴木 ベテランになるにつれてプレッシャーは軽くなりますか?
 
岩政 残念ながら、なりません。ただ、いろいろとトレーニングしてきたので、良い身体の状態を作れば良いプレーにつながる自信もできた。その状態を作ることに集中するだけになったので、30歳くらいから、あまりメンタルが関係無くなりました。
 鈴木選手は準備にこだわったり、自分で気づいていろいろトライしていますよね。それは危機感から生まれるものだと思うんです。私は楽観的なセンターバックは伸びないと思うので、そういう危機感は大事にしてほしいですね。
 
鈴木 危機感は常に持っています。センターバックはひとつのミスが失点につながるとか、ハイライト映像でもやられているプレーしか出てこないとか、自分と向き合う場面が多い。それでも立ち上がって次の試合に行かなければいけない。キーパーもそうかもしれないけど、センターバックはそういうプレッシャーが一番あると思うんです。それを乗り越えることでなにか掴めるものがあったりする。その繰り返しで成長してきました。
 
岩政 センターバックが一番ですよ。キーパーはスーパーセーブの映像が使われますから(笑)。