猫や犬など、動物と暮らす人にとって、彼らは『家族』であり何ものにも代えがたい大切な存在でしょう。

「もしも、何らかの事情で大好きな家族を手放すことになったら?」

考えるだけで胸が締め付けられる思いがしますが、誰しも絶対にないとはいい切れませんよね。

そんな「もしも」が物語のキーである小説『旅猫リポート』。2018年に映画化が決定しており、早くも期待の声が寄せられています。

著者である有川浩さんが「一生に1度しか書けない物語」と語るベストセラー小説をご紹介します。

猫好きにはたまらない!?リアルさを追求した猫目線

主人公である猫の名前はナナ。長い間野良猫として生きてきたため、プライドは高く、他人になかなか懐きません。

ナナはある事件をきっかけに、優しい青年・サトルと一緒に暮らすことになります。

内容のほとんどが『ナナ目線』で語られており「猫ってそうなんだ!」と、猫の習性について新しい発見があるのも本書の魅力です。

僕?僕はもちろんいけてる猫だよ。初めてスズメを獲ったのは、生まれて半年も経たない頃だ。羽のあるやつは四つ足よりも捕まえるのが難しいんだぜ。

書籍『旅猫リポート』 ーより引用

猫にならないと分からない、狩りに関する認識です。ほかにも、猫が飼い主に嫌がられてもつい狩猟をしてしまう『理由』などが描かれています。

また、本書には犬も出てくるため、猫と犬の違いを楽しむこともできます。

あまねく犬というイキモノは、そのへんあまり冷静じゃなくて、自分の主人が黒と言えばたとえ白でも黒なのだ。

(中略)

ちなみに猫なら飼い主が駄々を捏ねようと、白いものは白ですよ。猫は己の信ずるところに従うのみだ。

書籍『旅猫リポート』 ーより引用

青年が「どうしても愛猫を手放さなくてはならない理由」

物語はナナとサトルがある事情で旅をスタートさせるシーンから始まります。

※写真はイメージ

「ナナ、ごめんな」

サトルは申し訳なさそうに僕の頭をなでくった。いいよいいよ、気にすんなよ。

「こんなことになってごめんな」

皆まで言うなって。僕は物の道理の分かった猫だよ。

「お前を手放すつもりはなかったんだけど」

人生ってままならないもんだぜ、僕は猫生だけど。

書籍『旅猫リポート』 ーより引用

銀色のワゴンで、ゆかりのある人たちの元を訪ねるサトル…目的は「ナナを引き取ってくれる人を探すため」です。

一体なぜ、サトルは最愛の猫・ナナを手放すことになったのでしょう。

人や動物たちとの交流の中で、サトルの秘密が徐々に明らかになっていきます。

優しい雰囲気にほんの少しの切なさを含んで進んでいく、1匹と1人の旅。

読んでいくうちに、読者も一緒に旅しているかのような気持ちになれる作品ですよ。

講談社 有川浩 著 『旅猫リポート』

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[文・構成/grape編集部]