【激安輸入中古車のススメ】第1回 筆者が10万円で買った初代シトロエン C5(前編)

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たったの10万円で買えた
シトロエンのフラッグシップ

先日、05年型シトロエン C5 2.0 セダンの中古車を購入した。いわゆる"カブキ顔"と呼ばれる同世代のC4によく似たフェイスを持つ初代C5の後期型だ。ちなみに前期型は"ナマズ顔"と専門店や好事家の間では呼ばれているらしい。色はシルバーで走行距離は4万9,000km台。ヘッドランプにくもりが少し出ているものの内外装は年式を考えれば充分にキレイと言って良く、フランス車鬼門のAL4(PSAとルノーが共同で開発した4速AT。トラブルが多いことで知られる)やハイドロサスペンションを含めてメカのコンディションも上々である。新車時からの整備記録簿がたっぷり残っていたことからも前オーナーが大切にしていた個体だということがわかった。

懇意にしている欧州車専門店に下取り車として入ったというこのクルマ。「いいクルマなんだけど市場価値はもうないんだよね」とのことで、たったの10万円で譲ってもらった。この金額は車両本体価格のみだが、自分で登録することを条件に車検整備・予備検付きで17万円、登録に関わる税金・自賠責を支払って乗り出し23万円となった。

02年型プジョー 306カブリオレと92年型ルノー サンクを手放したばかりで、手頃なアシ車を探していた筆者にとって、シトロエンC5を安く譲ってくれるという話はまさに渡りに船であった。ボディカラーが地味なシルバーなのがちょっと不満だが(初代C5にはダークブルーや明るいグリーン、ライトブルーメタリックなどの魅力的なカラーが設定されていた)、このコンディションでこの価格なら文句を言うのは贅沢というもの。直近でタイミングベルトとATFの交換履歴がなかったので、近いうちに保険の意味を込めて交換したほうが良さそうだが、いい買い物ができたとまずまず気に入っている。


筆者が購入した05年型シトロエンC5 2.0。車両本体10万円、乗り出し23万円という破格値だった。走行距離は4万9,000km台と少なく、内外装とメカのコンディションはまずまず。なぜこんなに安いかと言えば、中古車市場での需要がほとんどないからだ。



実用車としては良くできていたが
商業的には失敗に終わる

80年代以降、欧州では市場の統合が進み、自動車の販売競争が熾烈なものとなると、シトロエンは独自のメカニズムとアクの強いスタイリングが一般ユーザーの獲得に繋がらないと考えたようで、ハイドロサスペンションの使用に消極的となり、個性を薄めて普遍化を目指したわけであるが、この経営判断は従来からのファンを遠ざけ、新規顧客の開拓に失敗するという最悪の結果を同社にもたらすことになった。

とくに深刻だったのは稼ぎ頭となるはずだったDセグメントのC5である。01年に登場したこのクルマは、名車の誉れ高いエグザンティアの後継としてリリースされた。

シトロエンとしてはC5にかなり期待していたようで、開発に1,000億円以上の巨費を投じ、プラットフォームを新規に起こした上で、サスペンションはエグザンティアに採用されていた電子制御式のハイドラクティブ兇鮨焚修気擦織魯ぅ疋薀ティブ靴魍発。品質向上にも力が注がれ、従来のシトロエン車に比べて信頼性は大きく向上している。初代C5は同社の自信作だったようで、エグザンティアのみならず生産が終了したXMを1車種で代替し、同社のフラッグシップモデルとして君臨するはずだった。ところが、フタを開けてみればシトロエンの期待に反してC5はまるで売れなかった。


01年に登場した初代シトロエンC5の前期型。専門店や好事家の間では"ナマズ顔"と呼ばれているようだ。シャープで引き締まった印象のある前任のエグザンティアに比べると、スタイリングは茫洋として個性に薄い。もっとハッキリ言えばカッコ悪い。

05年のマイナーチェンジで
初代C5は個性的な"カブキ顔"となる

慌てたシトロエンはC5のデビューから4年後のマイナーチェンジで個性の薄い茫洋(ぼうよう)としたフロントマスクを捨て、目尻のつり上がったヘッドランプとダブルシェブロンのエンブレムを一体化したグリルによる当時のファミリーフェイスを与え、リアのコンビランプを逆L字型のものにあらためた。個性と魅力に欠けるC5に少しでも"らしさ"を与えようとした窮余の策だったようだ。

このフェイスリフトでシトロエンは「スタイリングのバランスを取るため」としてユーザーのメリットに寄与しない部分、フロントオーバーハングを12cm延ばしている。

こうしたシトロエンの迷走ぶりを当時の筆者は冷ややかに見ており、初代C5の印象もけっして良いものではなかった。実車に触れるチャンスがあれば、あるいは考えを改めたのかもしれないが、その頃の筆者はアメ車雑誌やミリタリー専門誌などでの執筆が仕事の中心で、欧州車から離れていたこともあり、初代C5のステアリングを握る機会がないまま今日まで来てしまった。

ところが、である...。
(明日掲載予定の後編へ続く!)



シトロエン C5の前に筆者が所有していた02年型プジョー 306カブリオレ。こちらもコミコミ35万円で購入。2年間乗って25万円で売却できたので差し引き10万円で楽しめた。


プジョー306カブリオレと同時期に所有していた92年型ルノー サンク。塗装の痛み&水漏れのトラブルを承知で10万円購入。再塗装に10万円、修理に15万円ほど掛かったが、1年乗って25万円で売却。

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