安倍晋三首相が8月の内閣改造で新たに掲げた「人づくり革命」。教育無償化、人材への投資による生産性の向上、社会人の「学び直し」などを柱とした政策だ。しかし発表直後には、ネット上で「意味不明」「信じられない言葉のセンス」といった戸惑いの声が相次いでいた。

そんな中、21日放送の「モーニングCROSS」(TOKYO MX)で、慶應義塾大学特任准教授の若新雄純さんが「人づくり革命」というネーミングについて解説した。

「都市開発」から「まちづくり」へ、「人材教育」から「人づくり」へ

若新さんは「人づくり」という言葉を説明するにあたって、「まちづくり」という言葉の成り立ちを引き合いに出した。この言葉は「都市計画」という言葉から生まれたものだという。

「都市計画」とは、どこの地域にも画一的に病院や図書館、公衆トイレなどを作ることを指していた。しかしある程度の整備が進むと、そこから地域ごとに適した独自性のあるものを多様に作っていこうという考え方へと変化し、「都市計画」という言葉に代わって「街づくり」という言葉が使われるようになった。こうした流れの中で、市街地の"街"か自治体の"町"かを問わない「まちづくり」という言葉が生まれたという。

「人づくり」も同様の変遷を経て生まれた言葉だ。元々は、全員を一定のレベルまで引き上げるため、誰に対しても同じ教育を行う「人材教育」が行われていた。やがて多くの人が同レベルになると、一人ひとりの適性や能力にあった教育をしたり、持っている素質の開発をしたりするようになり「人材育成」「人材開発」という言葉が使われ始める。これがさらに発展して、多様性を重視した「人づくり」と名付けたのではないかという。

「生涯を通してここ(ある一点)を目指すのではなく、人には永遠に死ぬまでいろんな方向を目指す可能性がありますよ、みたいなことを言っているんだと思います」

また「僕の予想ですけど今に『人』って漢字は平仮名に変わるんじゃないかなと思います」と話していた。

「リカレント教育」は生涯学習 「生涯にわたって何度でもいろんな方向を目指せる」

さらに若新さんは「人づくり革命」が発表された記者会見で触れられた「リカレント教育」についても解説した。日本語で「生涯学習」を意味するこの言葉が目指すのは、

「一度目指したものがダメだったとしてもまたもう一回大学に行くとか、一回仕事を休んでしまってもそこで再チャレンジするとか、生涯にわたって何度でもいろんな方向を目指せる」

ということではないかという。

文部科学省が発表した調査によると、日本の25歳以上の大学進学率は約2%。世界平均である20%の10分の1に留まっており、現在「学び直し」の機会を手に入れるのは非常に難しい状況だと言える。

若新氏はこれらの「人づくり革命」について、

「『人づくり』って言葉の中に込められている思いは、人それぞれの人生、最後までどういうことになるのか分からないっていう『?』(可能性)をみんなで作っていくこと」
「日本が目指すべきものは、一人ひとりの人生は多様なんだけど、どこかでひとつまとまって『国』という意識を持つという、すっごく難しい段階に向かっていると思います」

と語っていた。

ツイッターでは「若新さん分かりやすい。100年時代には就職していても"学び直す(再入学)"チャンスは欲しい」など、改めて人づくり革命の内容を理解することができた、という声が非常に多く寄せられた。