“ネクスト・ムバッペ”を探せ 17-18プレミアリーグ編」

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ともに18歳で1億ユーロ超えの値札がついているムバッペやドンナルンマの成功は、U-20の価値を再認識させた。今日のサッカー界で最も資産価値が高い選手は「トップレベルの経験を積んでいる10代」だ。若ければ若いほど大きなお金が動く。早期のトップチームデビューのトレンドは今後ますます加速していくはずだ。ここでは“ネクスト・ムバッペ”となり得るU-20の有望株をリーグごとに紹介。未来のスターを、いち早くチェックしよう。

文 奥山 真

U-20W杯優勝の立役者は17-18のブレイク必至!?

Ademola LOOKMAN
アデモラ・ルックマン
1997.10.20(19歳)174cm/78kg ENGLAND
エバートン

 FWカルバート・ルウィン(20)、DFホルゲート(20)、ペニントン(22)など、昨季は多くの若手を抜擢したエバートンのクーマン監督。最も活躍したのは、後半戦からレギュラーに定着して24試合2得点という数字を残したMFトム・デイビス(19)だが、17-18シーズンは19歳のアデモラ・ルックマンに注目したい。今年1月にチャールトン(3部)から移籍したサイドアタッカーのデビューは鮮烈だった。第21節のマンチェスター・シティ戦。90分に登場したルックマンは、その4分後に右サイドで相手のクリアミスを拾ってゴールに突進。GKブラボの動きを完璧に読み切った股間を抜く一撃で、圧勝(4-0)のゲームを締めくくった。最初のシーズンのプレミアリーグ出場は8試合にとどまり、ゴールはこの1発のみだったが、思うように活躍できなかった鬱憤を晴らすかのように、U-20W杯で真価を発揮した。

 イングランド代表に初優勝をもたらしたのは、大会最優秀選手に選ばれたソランケとルックマンの決定力だった。決勝トーナメント1回戦のコスタリカ戦は、ルックマンのための一戦。35分にエバートンの同僚ケニーが上げたクロスを冷静なトラップから押し込むと、63分にはC.ルウィンの折り返しを受けて見事なタッチでDFをかわし、落ち着いてプッシュ。2-1の勝利に貢献した。ルックマンは、準決勝のイタリア戦でも決勝ゴールをゲット。鋭いドリブルとゴール前での冷静なプレーは、今季グディソンパークのサポーターを狂喜させるに違いない。

17歳45日の初ゴールはリバプール史上最年少!

Ben WOODBURN
ベン・ウッドバーン
1999.10.15(17歳)174cm/72kg ENGLAND
リバプール

 出場わずか5試合、唯一先発で起用された第32節のストーク戦はハーフタイムに代えられてしまった。プレミアリーグの総出場時間は90分に満たなかったベン・ウッドバーンの記憶がそれでも鮮やかなのは、リバプール史上最年少ゴールがあまりにも衝撃的だったからだろう。2016年11月29日、ホームで行われたリーグカップ準々決勝のリーズ(2部)戦。67分にスチュワートと代わったアタッカーは、チームがオリギのスライディングシュートで先制した後の81分に豪快なボレーを叩き込んだ。アレクサンダー・アーノルドのクロスをワイナルドゥムがゴール正面でトラップし、右足のアウトで左に流すと、期待の58番は迷わず右足を振り抜く。その瞬間、アンフィールドのボルテージは最高潮に達し、“ワンダーボーイ”マイケル・オーウェンが保持していたレコードは17歳45日に塗り替わった。

 足下がしっかりしており、前線のポジションならどこでもこなせるウッドバーンの最大の魅力は、シュートレンジにおける思い切りの良さだろう。ウェールズ代表の先輩ラムジー(アーセナル)と比較されることが多いが、縦に抜け出すスピードは後輩がはるかに勝る。とはいえ、オリギ、マネ、さらに新加入サラーがそろうチームでレギュラーポジションを奪うのは至難の業。クロップ監督に見出された若きタレントは来季も国内カップが主戦場となりそうだが、アンフィールドのサポーターに2度目の歓喜をもたらす日はそう遠くないはずだ。

最強のチェルシーユース出身、点取り屋2人は大成できるか?

Dominic SOLANKE
ドミニク・ソランケ
1997.9.14(19歳)185cm/80kg ENGLAND
チェルシー→リバプール

Tammy ABRAHAM
タミー・アブラハム
1997.10.2(19歳)190cm/80kg ENGLAND
チェルシー→スワンジー

 FAユースカップ4連覇、UEFAユースリーグ2連覇。欧州最強とも言われたチェルシーユースから、2人のストライカーがチームを離れて勝負することになった。5月末にリバプール移籍が決定したのは、U-20W杯で4ゴールを決めてイングランド代表を初優勝に導いたドミニク・ソランケ。ドリブルのコース取りやラストパスのタイミングが的確な19歳は、ジエゴ・コスタやアザールがいたチェルシーではプレミアリーグ出場ゼロ。新しいクラブにもフィルミーノやオリギといった強敵がいるが、リーグ戦デビューを果たすことができるだろうか(編注:8月19日の17-18プレミアリーグ第2節クリスタルパレス戦で71分から途中出場。待望のプレミアデビューを飾った)。ポジショニングの良さと周囲を生かすクレバーなプレーに加え、90分走り続けられる運動量を身につければ、クロップ監督に指名される機会は増えるはずだ。

 一方、U-21欧州選手権のイングランド代表に19歳で選ばれたタミー・アブラハムは、絶対的エースのジョレンテがいるスワンジーへとレンタル移籍。昨季はチャンピオンシップ(2部)17位のブリストル・シティに貸し出され、リーグ2位の23ゴールを叩き出す大活躍を見せた。チェルシーでのプレミアリーグ出場は15-16シーズンの2試合のみで、ゴールなし。ソランケにはテクニックで劣るものの、フィジカルの強さと決定機を確実に生かすシュートセンスがアピールポイントだ。チェルシーでは選手層の厚さを突破できなかった彼らが、新天地でどんなプレーを見せてくれるのかに注目したい。

多彩なフェイントが武器の“エジプトのメッシ”に注目

Ramadan SOBHI
ラマダン・ソブヒ
1997.1.23(20歳)183cm/75kg EGYPT
ストーク

 「○○のメッシ」と呼ばれる選手は数多く存在するが、“エジプシャン・メッシ” ラマダン・ソブヒもその一人である。2014年、16歳の時にアフリカの名門アルアハリでプロデビューを果たしたソブヒは、巧みなドリブルが注目され、翌年に17歳11カ月でエジプト代表に選出された。母国のクラブで3シーズン通算55試合11ゴールと経験を積むと、アーセナルやローマからオファーありと報じられる中で16年7月、600万ポンド(約8億7000万円)でストークに入団。開幕2戦目のマンチェスター・シティ戦でプレミアリーグのピッチに足を踏み入れている。

 彼の最大の魅力は、ボールタッチの柔らかさと多彩なフェイントだ。足の裏を使った鋭いターンで縦に抜け出す速さと巧さは、チームメイトのアルナウトビッチやシャキリもかなわないだろう。ドリブルとパスセンスには将来性が感じられる一方で、時おり独りよがりなプレーに走り、自陣でボールを失うなどのミスが目立つのがウイークポイント。昨季は2月にレギュラーに定着したかと思われたが、チームの失速とともに出番を減らしプレミアリーグ出場17試合でノーゴールに終わっている。仕掛ける場面とシンプルにプレーするべき状況を的確に判断できるようになり、ゴールに向かうプレーが増えれば、マーク・ヒューズ監督の信頼を得ることができるのではないか。将来はアフリカ史上最高の選手になるとまで言われた男の新シーズンの成長に期待したい。

U-20の新世代タレントをリーグごとに紹介!

8月22日(火)公開: 屮廛譽潺▲蝓璽以圈
8月23日(水)公開:◆屮札螢A編」
8月24日(木)公開:「リーガ編」 「特別編:ダニ・セバージョス」
8月25日(金)公開:ぁ屮屮鵐妊好蝓璽編」

Photos: Getty Images