2016年度の上場小売業277社の平均年間給与(以下、平均給与)は503万6,000円(中央値485万6,000円)で、4年連続で前年度を上回った。前年度より4万7,000円(0.9%)増加し、2010年度に調査を開始した以来、初めて500万円台に乗せた。
 金額別では、500万円未満が157社(構成比56.6%)と6割弱を占めた。上場企業3,044社の平均給与は609万8,000円(中央値591万円)で、他業界の平均給与とは100万円超の開きがあるが、企業間の格差も大きいようだ。
 ただ、小売業は『雇用の受け皿』の側面もあり、毎年社員の採用に積極的で、ここ数年は深刻な人手不足もあって待遇改善で平均給与の引き上げに動いたとみられる。


  • 本調査は2016年度決算(2016年4月期-2017年3月期)の全証券取引所の上場企業のうち、小売業を対象に、有価証券報告書から平均年間給与を抽出。2010年度から2016年度まで連続比較が可能な277社(変則決算企業は除く)を集計、分析した。
  • 証券分類は、証券コード協議会の定めに準じた。ただ、持株会社(ホールディングス)は中心となる業種を採用し、事業会社の平均年間給与とは異なる。

平均給与の「増加」は182社

 上場小売業277社のうち、平均給与が前年度より増えたのは182社(構成比65.7%、前年度169社)で6割を占めた。一方、減少は91社(同32.8%、同104社)、横ばい4社(同1.4%、同4社)だった。平均給与の「増加」企業数は6割を占め、前年度より13社増えた。

平均給与の増減率 増加率0.0%超〜1.0%未満が最多48社

 上場小売業277社の平均給与の増減率は、増加率0.0%超〜1.0%未満が48社(構成比17.3%、前年度30社)で最多だった。次いで、2.0%以上〜3.0%未満の35社(同12.6%、同32社)、1.0%以上〜2.0%未満の31社(同11.1%、同43社)の順。
 増加率10.0%以上が15社(構成比5.4%)に対し、減少率10.0%以上は8社(同2.8%)にとどまり、全体の平均給与を押し上げた。また、増加が182社(前年度169社)、減少は91社(同104社)と、平均給与が前年度より増えた企業が多く、人手不足の中で業界は待遇改善に動いているようだ。

業態別 ドラッグストアが前年度比4.1%増で増加率が最大

 業態別の平均給与は、トップがコンビニエンスストアの571万4,000円(中央値586万3,000円)で、前年度より11万6,000円(2.0%)増加。2012年度以来、4年ぶりのトップになった。
 以下、百貨店の570万2,000円(中央値605万5,000円、前年度比0.3%減)、ドラッグストア・調剤薬局の525万3,000円(同524万4,000円、同4.1%増)の順。一方、最も低かったのは家電販売の470万7,000円(同467万1,000円、同2.0%減)だった。
 家電販売は減少率も最大だった。中国人観光客を中心とした爆買いの終焉やネット通販の成長などによる業績低迷が影響したとみられる。一方、ドラッグストア・調剤薬局は増加率4.1%で、好調な業績を反映した格好。

金額別、500万円未満が6割弱

 個別企業の平均給与トップは、「カプリチョーザ」など国内外の各種ダイニングレストランを統括する持株会社のWDI(従業員1名)の1,010万3,000円。
 2位は「阪急阪神百貨店」「イズミヤ」「阪急オアシス」の持株会社、エイチ・ツー・オーリテイリングの891万4,000円(前年度931万1,000円)。3位は家具販売「ニトリ」の持株会社、ニトリホールディングスで877万7,000円(同860万円)。
 平均給与の上位は、百貨店、スーパーなどを傘下に置く純粋持株会社が顔を揃えた。
 増加率では、ビジネススーツ・紳士服販売のはるやまホールディングスが、前年度比50.4%増でトップ。これは2017年1月に会社分割で純粋持株会社体制に移行し、従業員が1,273名から57名に変更したため。 社数の最多レンジは、500万円未満の157社(構成比56.6%)。次いで、500万円以上600万円未満の74社(同26.7%)、600万円以上700万円未満の25社(同9.0%)だった。500万円未満、500万円以上600万円未満のレンジは前年度に比べ社数が減少しており、賃金の引き上げが着実に進んでいることがわかった。